園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2016年 6月 関心

 お弁当の時間に年少のひよこ組のお部屋に入っていくと、子どもたちが大きな声で「見て見て〜」とそのお弁当を見せてくれます。お弁当箱を持って見せてくれる子、おかずを箸で持って見せてくれる子。みんな目をキラキラとさせています。お母さんが作ってくれたお弁当を自慢したい気持ちが強く、それを必死になって表現している姿がとてもかわいい。子どもの成長、健康、喜ぶ笑顔を願いながらお母さんが作ったお弁当を食べる時間、子どもの心はお母さんと確かにつながっているように感じます。

 子どもと親がつながっている・・そのことが急に断ち切られるような事件、事故が起こりました。わが子を何とか言うことを聞く子にしようと思った親が山中にその子どもを置き去りにしたのです。恐怖心を与えることによって子どもに躾をしようと考えた親の行為です。山中に一人、取り残された子どもの恐怖はとても大きなものだったでしょう。一方で親も、子どものことが大切で、少しでもよく育てたいとの思いがあっての行動で、発見されるまでの6日間の親の苦しみも大きなものだったはずです。子どもを置き去りにした今回の一件は特別異質なことではありません。子どもをたたく、むやみにきつくしかる、自尊心を傷つけるなどの行為と本質的には同じものです。たたかれるのが嫌だから親の言うことを聞く、叱られるのが嫌だから親の言うことを聞くなどの恐怖心を使っての子育てはしないようにしましょう。
 
 自分の子どもに限らず、家族でも、それが夫でも妻でも、自分の言うことを聞いてくれるのが当たり前と考えること自体に無理があるように私は考えています。聞いてくれる時もあるし、聞いてくれない時もあります。聞いてくれる時を増やしたければ、聞いてあげることを増やしなさいと育児書に学んだことがあります。子どもの言うことは聞かない親なのに、子どもには親の言うことを聞きなさいと強要するのは、親と子、大人と子どもという上下関係を前提にした大人の勝手な論理です。子どもが言うことを聞かない思ったとしたら、それだけ、子どもの言うことを聞いていないと反省しなければならない時だということです。子どもの言うことをたくさん聞いてあげましょう。そのような親子の関係の中で、子どもは少しずつ自分で判断し、自分でできるようになっていくことが増えていきます。焦らずに見守って行きましょう。

 4月の「安心」、5月の「気づき」、そして6月のカリキュラムのテーマは「関心」となっています。安心して生活する中で気づく経験をたくさんしてきた子どもたちがいます。その気づく経験をさらに深めて、関心へと発展させます。身近にある自分の関心にじっくりと集中してよいのが子ども時代です。大人はその子どもの関心に気づき、共感し、一緒に楽しむ、そんな余裕をもって日々を過ごして行きましょう。