園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2016年 9月 躍動

 自分自身の力を信じる、自信というものはどのように芽生えるのかというと、人を信じることから始まるそうです。人とは子どもにとっては親、多くは母親ということになります。いつも私が困ったら助けてくれるお母さん。いつも私を見守ってくれているお母さんがいる。こう信じることが大切なのです。「天笑人語:山北宣久著」に松田明三郎という牧師の書いた「星を動かす少女」という詩が紹介されていました。

 クリスマスのページェントで 日曜学校の上級性たちは 三人の博士 や、牧羊者の群や、マリヤなど、それぞれ人の目につく役をふりあて られたが、一人の少女は 誰も見ていない舞台の背後にかくれて 星 を動かす役があたった。
 「お母さん、私は今夜、星を動かすの。見ていて頂戴ね」
 その夜、堂に満ちた会衆はベツレヘムの星を動かしたものが誰である か気づかなかったけれど、彼女の母だけは知っていた。
 そこに少女の喜びがあった。

少女の純粋さ、与えられた役割をしっかりと演じようとする姿、親子の信頼関係が表現されている詩です。「見ていて頂戴ね」と言われた時の母親の返事を想像してみてください。

 幼稚園は同年齢の子どもとの交わりの生活によって成長が導かれる場です。良い交わりもあれば、あまり好ましくない交わりもあります。たたいたり、たたかれたり、傷つける言葉を言ったり、言われたり、仲良く遊んだり、仲間外れにしたりということもあります。人をたたいてしまった子には、その子なりの理由があるのでしょうから、「人をたたいてはいけません」と叱るだけではその子の本当の気持ち、姿は理解できません。「人をたたいたら痛いでしょ。嫌がられたでしょ、そういうことはしちゃいけないよ。でも、どうしてたたいちゃったの?』と話しかけて初めてその子が次に人をたたかなくなるように導くチャンスが生まれます。一方のたたかれた子はどうでしょう。たたき返す子もいます。口で「たたかないで!」と言う子もいます。たたかれるだけで、何もせず我慢する子もいます。三者三様、それぞれに思いがあります。聞いてほしい、知ってほしい思いがあります。その思いに寄り添ってあげられる人がいることが子どもにとってどんなにか幸せでしょうか。

 9月のカリキュラムのテーマは躍動です。教職員が知恵と力を合わせて、子どもたちがいきいきと活動できる環境を作って行きます。その中にあって、私を見てくれている人、私を知ってくれている人、私をわかってくれる人がいるという安心感を子どもたちに与えられたらと願っています。