園長 佐 竹 和 平
久しぶりに山登りがしたくて高尾山に行ってきました。高尾山は標高599メートル、山中には薬王院があって、観光客、参拝客で賑わいがあります。この参道に「十善戒」という仏教の教えが書かれていて興味深く読ませていただきました。
- 不殺生(ふせっしょう) むやみに生き物を殺さない。あらゆる生命を尊重しよう
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- 不偸盗(ふちゅうとう) 盗みをしない。他人のものを尊重しよう
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- 不邪淫(ふじゃいん) 男女の道をはずさない。お互いを尊敬しあおう
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- 不妄語(ふもうご) 嘘をつかない。正直に話そう
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- 不綺語(ふきご) 心にもないきれい事を言わない。よく考えて話をしよう
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- 不悪口(ふあっく) 悪口を言わない。優しい言葉を使おう
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- 不両(ふりょう)舌(せつ) 二枚舌を使わない。思いやりのある言葉を使おう
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- 不慳貪(ふけんどん) 欲張らない。惜しみなく施しをしよう
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- 不瞋恚(ふしんに) 激しい怒りをいだかない。にこやかに暮らそう
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- 不邪見(ふじゃけん) 誤った見解を持たない。正しく判断しよう
これは帰って来て調べたことなのですが、この十善戒は不で始まるので意味は否定、「〜しない」になります。ですが、参道で見たその解釈はすべて肯定のもの「〜しよう」 でした。(右側のゴシック部分)。肯定の前向きな言葉だったから、私も興味深く読み、心に入ってきたのだと思います。
子どもとの生活に限らず、何かと否定形の言葉、禁止の言葉がついでてしまいます。しかし、否定の言葉より肯定の言葉の方が伝わりやすいのです。「してはいけない」ことを伝えるためには、例えば「大きな声をださない」と言うより、「静かにしよう」と言い換えた方が相手には伝わり、大きな声をださなくなるるということです。つまり、「してはいけないこと」を伝えるのではなく「して欲しいこと」を言う方が相手には伝わるということです。
親の言葉が子どもの言葉になると言われています。親が日本語なら子どもも日本語になります。親が肯定的な言葉を使っていると、子どもも肯定的な言葉を使うようになることになります。「いいね」「大丈夫」「ありがとう」なども現状を肯定する言葉です。そんな言葉が行き交えば良い親子関係が築いていけそうです。