自分で決める 園長 佐 竹 和 平
「朝、園長の私が門の前いて、子どもたち、保護者のみなさんにあいさつをしますが、そのときに保護者の皆さんは子どもにどもにあいさつしなさいと言わないでください」
以前、保護者の皆さんを前にこのようなお話をしたことがあり、驚かれたことがあります。あいさつをすることは人と人とが認め合うことですからとても大切なものです。とても大切なものだからこそ、人(親)に言われたからするのではなく、自分自身の意思であいさつができるといいと思っているからです。あいさつの大切さ、あいさつをするように導くのは教育的にも行なわれるべきですが、「ほら、あいさつをしなさい!」とか「おはようは!?」「園長におはようって言いなさい!」のような言葉がけによって「おはよう」の言葉が出ても、本当のあいさつにはならないからです。
ボランティアという言葉があります。福祉施設での活動や災害時の復旧などに活動する人が増えてきています。このボランティア(Volunteer)の語源は「自由な意思」という意味なのだそうです。人から言われてするものではなく、自分自身の決定によりするものということになります。そして、この最初の「ボラ」というのは火山(Volcano)のvolに由来しているそうです。火山のように心の中から爆発するような思いで活動するのがボランティアということになります。
人間の行動はその多くは自分自身の決定、自分自身の意思で行なわれるものです。もちろん、親や大人が子どもにとって何が必要か不要かを選ぶべきものもあります。しかし、子ども自身が選べる物は可能な限り、子どもに選ばせてあげたいと思います。子ども自身が自分の意思で決めることを尊重してあげたいと思います。あいさつをする私がいて、あいさつをしない私がいる。どちらの私を選ぶようになるのか。この人にはあいさつをするか、しないか。自分で判断するのです。自分自身で判断したら、元気な声で自分からあいさつ出来るようになるのだと思います。今できないとしても、自分自身の意思を尊重してくれる大人が周りにいれば、きっと、いつか素敵なあいさつ、火山のように心の発露となるようなあいさつをするようになります。あせらずにそのときを待ちましょう。
さて、今月のカリキュラムのテーマは「協力する」となっています。人は一人では生きてはいけません。人と人とがコミュニケーションを取り合い、同じ目的を共有しつつ協力し合いながら生きています。幼児期のこの時期に「協力する」ことの大切さを感じてもらいたいとの願いがあります。幼稚園での集団活動、クラス活動の中で協力して何かを成し遂げる喜び、うれしさ、気持ちよさを感ることがたくさんできる幼稚園生活が導かれるようにしていきます。