園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2019年 11月

共感する             園長 佐 竹 和 平 

「せんせい~じゃんけんしよう~。ぼく、チョキだすからせんせい、グーだして~!」 と、今年の子どもとのじゃけん遊びはちょっと変わったものになっています。このまま素直に私がグーを出すと、子どもはチョキではなく、パーを出して園長に勝って喜ぶというもの。単に勝ち負けを決めるのではなく、会話を楽しむじゃんけんです。年長さんを相手にするときは、更に発展させ・・「エンチョーがグーを出したら、○○くんはきっとチョキじゃなくてパーを出してくるから、エンチョーはチョキを出して勝とう!」と小さい声で言うと・・ちゃんとそれを踏まえて子どもはグーを出してきて、園長に勝って喜ぶというものです。

 じゃんけんはとても簡単な遊びですが、この遊びができるようになるには様々な能力が必要です。グー、チョキ、パーを手で作れること。「じゃんけんぽーん」のリズムに合わせて相手と同時にその手を出せること。そして、グー、チョキ、パーの力関係が瞬時に解るようになること。幼稚園入園前の子にはじゃんけんはできません。幼稚園での活動を通じて、じゃんけんができるようになっていくのです。手遊びや工作で手を自由に手を動かせるようになり、歌や楽器演奏を通じてリズム感を得る。グー、チョキ、パーの力関係を理解するには、なぜだろう?どうしてだろう?を何度も経験して培う思考力と判断力が必要です。じゃんけん遊びには子どもたちの成長の姿が現れてもいるのです。

 さて、11月のカリキュラムのテーマは「共感する」となっています。共感とは、辞書によると「他人の意見や感情などにそのとおりだと感じること。」とあります。

  赤ちゃんはお腹が空いておっぱいが欲しいときやオムツが濡れ不快なときに泣きます。親が疲れていようが、眠かろうがお構いなし。自分の欲求を満たすため、生きていくために泣きます。親はそのことに気づき(共感)、おっぱいをあげたり、オムツを替えます。赤ちゃんは共感してもらい、欲求が満たされて満足し、幸せになります。もし、親が赤ちゃんの欲求に共感できない、気付くことができなかったとしたらどうなるでしょうか。赤ちゃんは自分自身の存在を認められず悲しい時を過ごすことになります。

 幼児期、学童期に限らず大人でも人に共感してもらうことによって自分自身の存在を良いものとして受け止めるようになるのです。子どもによっては親が理解に苦しむような欲求を持っていてして、にわかに共感できないことも出てきます。「なんでこんなことするの?」「なんでこんなもの欲しがるの?」「なんでこうしないの?」。しかし、子どもは共感して欲しい、わかって欲しいと思っているのです。子どもの思い、考えをくみ取り、共感することによって、子どもに幸せ、満足感を与えられるようにしていきましょう。