園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2019年 10月

よごれて洗って・・                  園長 佐 竹 和 平 

 幼稚園教育要領に示されている「幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿」は3つの力に分類することが出来るようです。

体を使う力 

「健康な心と体」「自然との関わり・生命尊重」「豊かな感性と表現」

考える力 

「思考力の芽生え」「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」

人と関わる力 

「協同性」「道徳性・規範意識の芽生え」「社会生活との関わり」「言葉による伝え合い」

 これらの力が育まれ、発揮されるのが幼稚園の運動会です。例えば年長さんのリレーは「健康な心と体」だけではなく、勝つためには「思考力の芽生え」「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」「協同性」「言葉による伝え合い」が必要ですし、勝ったり、負けたりする中では「道徳性・規範意識の芽生え」が育まれます。

 運動会を通じて一人ではできないこと、みんながいて、協力しあうからできることを楽しめるようにもなります。運動会を終えて、見せること、見てもらうことの楽しさ知った子どもたちの姿があります。友だちと一緒に遊ぶことの楽しさを知った子どもたちの姿もあります。その楽しさを味わうために自分の気持ちや考えを相手に伝えます。思いが通じるときもあれば、通じない時もあります。集団での毎日の生活の中でこうした経験を積み重ねていくことで、生きる力、人生の土台が培われていきます。

 「よごれて洗って よごれて洗って。 いい感じになりなさい。」久しぶりに良い言葉に出会った感じです。「もう、ぬげない」「ぼくのニセモノをつくるには」「おしっこちょっぴりもれたろう」「それしかないわけないでしょう」などの絵本で人気のヨシタケシンスケさんのエッセイ本に載っていた言葉です。

 子どもを見ていると、よごれたがる姿が多くあります。しかし、大人(保護者)は子どもがよごれるのを嫌がります。洗わないといけないからです。「よごれる」ことは成長段階の子どもにとってはとても大切です。よごれたら洗う。よごれたら洗う。これが子どもの成長、子育てなのかもしれません。毎回、大人が洗うわけではありません。自分自身で洗うこともたくさんあります。大人からみれば失敗に見えることも、子ども自身にとっては挑戦の結果かもしれません。いい感じに成長させるためにも、親の顔色をうかがって、よごれること(挑戦すること)をしなくなるような子ども時代を過ごさせないようにしたいものです。子ども自身の持っている「やってみたい!」という気持ちを大切にしましょう。やってみて、失敗し、よごれたって洗えばよいだけなのですから。