園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2015年 7月 やってみる

やってみる          園長 佐 竹 和 平 

 6月28日に大塚平安教会の献堂式(一般の落成式)が行われた際に私が40余年前にドレーパー記念幼稚園の園児だった時の園長先生(牧師)が来賓としておいでになった。先生は変わらぬ特徴ある暖かい話し方で祝辞、聖書の言葉を述べてくださって、それを聞いていて「私はこの先生の話を聞いて育ったんだな」と改めて思った。

 ドレーパー記念幼稚園の園児は毎週の礼拝で聖書の話を牧師から聞くのであるが、大人になってみてその話は全く覚えていない。私は子どものころに聞いた聖書の話で覚えているのはたった一つしかない。しかし、確かに毎週、毎週、聖書の話は聞いていたのである。何を食べたかなどは3日前のことくらいまで、または記念日のことは思い出せるかもしれないが今まで食べたほとんどの食事の内容は忘れ去られている。しかし、確かに食べているから今があることになる。子どもの時に親に言われたことで私が覚えているものは一つしかないが、たくさんの親子の会話の中で色んなことを考え、学んでいったことは確かである。
聖書の話し、食事、親子の会話に限らず、人との出会いや生きている中で経験するそのほとんどは忘れ去られていく。どうやら人間は忘れ去られるであろう多くのものの中から学び、成長していくようである。忘れ去られることを恐れずに、良い体験、良い言葉を一つでも多く子どもと共有していきたいと願っている。

 さて、今月のカリキュラムのテーマは“やってみる”となっています。子どもの姿から学ぶとても面白いテーマです。ビンの固い蓋を開けようと私が頑張っていると「かして!わたしがやる!」という子どもがいます。そんな時の子どもは私ならできるとか、私にはできないとか考えていないのかもしれません。とにかく“やってみる”ことが好きなんですね。大人はその人生の体験の中で出来なかった時の不快感を知り尽くしてしまっているので“出来そうなことならやってみる”となっていて新しいことをなかなかやってみようとしないのです。出来なかった時の不快感を気にせず、子どもの様に新しいことをやってみる快感に身をゆだねて生きていくと人生は豊かになるかもしれませんね。