園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2022年 3月

聖句暗唱                     園長 佐竹和平

幼稚園の毎朝の礼拝では月ごとに示されている聖書の言葉をみんなで声をそろえて言うのです。聖句を暗唱して声に出しますので、これを聖句暗唱といいます。

この一年の聖句をお子さんと一緒に、読み返しいただければと思います。

4月   わたしはよいひつじかいである。 

5月   かみはあいです。 

6月   ののはなが どのようにそだつか ちゅういしてみなさい。 

7月   ゆうきをだしなさい。わたしはすでに よにかっている。 

8月   へいわをじつげんするひとは さいわいである。 

9月 わたしがあなたがたをあいしたように あなたがたも たがいにあいしあいなさい。 

10月 あなたのみなは、いかにちからづよく、ぜんちにみちていることでしょう。

11月 なみだとともにたねまくひとは、よろこびのうたとともにかりいれる。

12月おめでとう、めぐまれたかた。しゅがあなたとともにおられる。

1月   ひかりのことしてあゆみなさい。  

2月   よろこぶひととともによろこび、なくひととともになきなさい。

3月   わたしはよのおわりまで、いつもあなたとともにいる。

 

 『イエス・キリストを通して示される神の愛と恵みのもとで子どもたちが育てられ、今の時を喜びと感謝をもって生き、そのことによって生涯にわたる生き方の基礎を培い、共に生きる社会と世界をつくる自律な人間として育っていって欲しい』

このような願いがキリスト教保育の子ども観です。毎日の聖句暗唱で、礼拝、祈り、讃美歌を歌う中でこの思いが少しずつ、子どもたちの心と体に行き渡っていったと信じています。

  いよいよ2021年度のドレーパー記念幼稚園の生活も終わりが近くなってきました。年長のほし組さんは幼稚園を卒業し、4月からは小学校へ進学、年少、年中は進級となりそれぞれ新しい環境の中での幼稚園生活となります。どのような環境の中にあっても、神様の祝福とお守りをいただいて、安心して生活ができるようにとお祈りしています。

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2022年 2月

育ち合う仲間                園長 佐竹和平

 加盟している相和幼稚園協会内では新型コロナウイルスの感染状況などの情報交換をSNS上で行っている。昨年の9月ごろには、幼稚園を休園にして保健所により濃厚接触者のPCR検査をしたなどの報告がいくつかあった。それも10月以降は全くなくなっていたのだが、今回の感染爆発が始まりだした、1月20日頃から、頻繁に情報が入ってくるようになった。今、多くの幼稚園が厳しい状況に置かれている。早くにこのような事態が収束するよう、みんなで祈りを合わせたい。

 さて、2月となり来月には年長さんは卒業となります。まだ、一カ月以上もありますが、卒業のための準備が少しずつ増えて行き、否が応でも意識が高まります。年少、年中も4月からの進級に期待を持っている子もいます。1年、2年、3年とそれぞれ共に過ごしてきたこの時を顧みるに育ち合う仲間ということを思わされます。集団での生活の中でこそ得られる育ちあう仲間です。仲間同士の中ではどんなことがあったでしょうか。一緒に笑う、喜ぶ、泣く、食べる。走る、踊る、歌う、作る、祈る。時には互いに競い合う、言い争ってけんかして、仲直りして、助け合ったり。最初は全く知らない関係だったのに、少しずつ認め合い、少しずつ一緒に過ごせる時間が増えた仲間です。そのような子どもたちの姿を間近に見て過ごしてきた保育者もまた共に育ち合う仲間であり、多いに子どもたちに育てられた年月でした。子どもたちには卒業、進級と環境が変る中にあっても、この時、この場所で育ち合った仲間を土台として、新たな育ち合う仲間を作っていってほしいと願っています。

 親と子の関係もまた育ち合う仲間なのだと思います。長引くコロナ過で親も子もそれぞれに精神的に追い込まれていることもあります。自分自身の忙しさにより子どもと共に過ごす時間が少なくなってしまっているかも知れません。親の生活環境が変ってそのしわ寄せが子どもに行っていることもあるでしょう。親として子どもに時にはイライラし、声を荒げたりするときもあるかもしれません。しかし、子どもの思い、子どもの願い、子どもの感情、子どもの価値観、子どもの生活を尊重すること、認めてあげることは忘れないでほしいと思います。大切な我が子です。育ち合う仲間です。仲間とは相手のことを信頼することが出来なくてはなりません。子どもが仲間としての親を信頼しています。親はそのことを忘れずに、子どもを信頼してあげましょう。子どもが親を信頼し、親も子どもを信頼する。それが仲間であり家族ということでしょう。皆さんの家族が信頼し合える仲間、家族であり、そのような中で子どもには育って行って欲しいと願っています。

2022年 1月

球根の中には                 園長 佐竹和平

 

 この時期には各教室で球根(ヒヤシンス)を育てていて、それを見ると自然とあの讃美歌を口ずさんでしまいます。その優しいメロディーと歌詞のもつ強いメッセージ性もあり、子どものみならず、大人にも親しまれる曲、「球根の中には」です。

その1番の歌詞はこのようになっています。

 1 球根の中には 花が秘められ、  さなぎの中から いのちはばたく。

   寒い冬の中 春はめざめる。  その日、その時をただ神が知る。

歌詞は花や虫の成長をも司る神を賛美する歌のようですが、球根、さなぎ、寒い冬の中の歌詞に子どものイメージを添えると、この歌のメッセージが伝わってきます。

 

子どもの中には 夢と希望があり、子どもは羽ばたいていく

苦しい時の中にあっても、幸せな時はやってくる。

私たちにはわからないが、神様だけがその日、その時を知っている。

 

 子育ては時として親の思い通りにならないこともあります。しかし、わが子の成長、わが子の現実を見て嘆き、悲しむのはおやめなさい。子どもの中にはやがて咲く花の種子がありますよ。あなたにはどんな種子かはまだ分からないかもしれないけど心配しないで、慌てないで見守ってあげなさい。神様はご存じです。神様がちゃんとその子の一番よい時を見計らって、良いようにしてくださるんですよという子を持つ親への神様の暖かい愛を伝えるメッセージです。作詞作曲は教会の牧師婦人が1980年代にされものです。

 私たちは今を生きるにあたっては目の前にある現実が不幸のように思え、将来に対する絶望を感じる時もあるでしょう。しかし、どんなことがあっても、神様がしっかりと全てのことを見守ってくださっていて、最後には必ず良いようにしてくださる。「球根の中には」はそんな内容の歌詞で、大いに励まされるのです。歌詞が2番、3番へと進むとその内容は人生の応援歌のようにさらに深まっていきます。

 

 2 沈黙はやがて 歌に変えられ、  深い闇の中 夜明け近づく。

   過ぎ去った時が 未来を拓く。   その日、その時をただ神が知る。

 

 3 いのちの終わりは いのちの始め。  おそれは信仰に、死は復活に、

   ついに変えられる 永遠の朝。  その日、その時をただ神が知る。

 

この歌詞を素直に受け止め、心に平安を持ってこの年、2022年を皆様と共に過ごしていけるようにと願っています。

 

 

YouTubeで広告の入っていない動画がありましたので、参考までに載せさせていただきます。

www.youtube.com

2021年 12月

マリアからのメッセージ              園長 佐 竹 和 平 

 子どもたち、保護者の皆様とともにクリスマスを迎えることが出来る喜びに感謝します。幼稚園のクリスマスでは全園児でイエス様のお生まれになった時のことを劇にしたページェント「最初のクリスマス」を演じます。

 ページェントではまず、天使ガブリエルがマリアの前に現れ、マリアが神様の子を生むことになると告げます。マリアは驚きましたが、神様を信じ、そのお告げを受け止めるのでした。マリアと夫のヨセフは人口調査を受けるために、産まれ故郷のベツレヘムの町に行きます。しかし、どこの宿屋も満員でした。ある宿屋が、馬小屋でよければ泊まれますよと案内してくれました。その馬小屋で神様の子イエス様が生まれたのでした。たくさんの星がイエス様の誕生をお祝いします。天使に教えられ羊飼いがお祝いにやってきます。導きの星を頼りに東の国から3人の博士がらくだに乗ってやってきます。博士たちは持ってきた宝物をイエス様におささげしました。馬小屋の前にはたくさんの羊たちもやってきて、イエス様をお祝いします。最後に馬小屋の前にみんなが集まり「きよしこの夜」「もろびとこぞりて」と賛美の歌をささげてフィナーレとなります。この劇の進行はナレーターと聖歌隊の歌によって進んでいきます。

 保護者の皆さんもすでに神様からの宝物であるお子さんを授かっています。お子さん一人ひとり、それぞれが神様からの役割(賜物)を与えられてもいます。子どもは親の思い、保育者の思いを受けつつ、しかし、子ども自身はその自分自身が持つ成長する力、賜物によって育っていきます。そのこともあって、子育てにおいてはやれること、やるべきことをやっても上手くいかない場合もあります。親としては思い通りにならないと思うことも多くあるかもしれません。それは、その子が神様からいただいているその賜物をまだ私たちが理解していないからなのかもしれません。親が不安に感じたとき、それは子ども自身が悩み、苦しんでいるときかもしれません。

 神様の子を産むという天使のお告げをマリアが受け入れるところからページェントは始まります。マリアが神様の愛を信じたからです。子育てに不安を感じた時にはこのクリスマスのマリアを思い出して欲しいのです。神様が必ずその子を愛し、慈しんでいると信じ、その成長を神様に委ねる勇気が持てれば、子育ての不安が少しは軽減できるはずです。子育ては神様の愛を信じるところから始まるのだと、このクリスマスの時、マリアから送られる、2000年の時を超えてのメッセージに改めて思うのです。

2021年 11月

育ての心                  園長 佐 竹 和 平 

 以前の園だよりに記したことがあるのですが、身内の誉れなので再び記させていただきます。私の曾祖父、佐竹音次郎は日本で最初に「保育園」を作った人物として「保育の父」と呼ばれています。今から120年ほど前、佐竹音次郎は小児科医院を開院していましたが、いつしか孤児(親のいない子ども)を預かるようになり、その数が増えていく中で、自分が父親となって、妻がその母親となって、その子どもらを育て、共に生活をしていくことにしたのです。自分たちが父母なのだからこの子どもらはもう孤児ではない。そのような思いから当時一般的に使われていた孤児院という名称を使わずに、その施設を保育園と名付けたのです。「保育園」という言葉は佐竹音次郎の造語で子どもが“保(やすん)じて育つ園”ということ。保じてとは安心してという意味です。子どもが安心して、育つ園、これが日本における最初の保育園とされています。

 さて、私の曾祖父は「保育の父」と称されますが「幼児教育の父」と言われる人物がいて、その名は倉橋惣三(1882年~1955年)。日本の幼児教育に大きな影響を与えた彼の墓碑には、下記のような言葉が記されています。

  自ら育つものを育たせようとする心、それが育ての心である。

  世にこんな楽しい心があろうか。

「自ら育つもの」とは子ども自身のこと。子どもには育つ力が具えられています。それを育たせようとする親や教育者の心、このことを倉橋惣三は「育ての心」とし、この「育ての心」ほど楽しい心はないと言っています。

 子どもの成長は身体的に大きくなることだけではなく、出来なかったことが出来るようになる、知らなかったことを知るようになることです。愛情、喜び、悲しみ、共感などを知り心が広くなることです。実際の子ども同士の生活では、けんかもします、仲間はずれもします、悪口もいいます、うそもつきます。怪我をする、風邪やウイルス性の病気になったりもします。親の言うことを聞かないこともあります。このようなマイナスの体験も子どもにとっては次に同じようにならないための貴重なプラスの体験、成長につながります。自ら育つものである子どもにとっては一つひとつの快、不快の体験が大切なのです。このような体験を通じて子どもが育つということを知っている「育ての心」のある大人が周りにいれば、子どもは安心して育って行けるのだと思います。

2021年 10月

運動会と5領域                  園長 佐 竹 和 平 

 今年の運動会はコロナ過ということもあり競技数を減らしての開催とさせていただく。競技数を減らすについては園長が年中、年長のダンスを運動会では行なわないのはどうかと教師に提案しました。年中、年中はそれぞれパラバルーン、組み体操という表現競技があるので、その上にダンスもあるとなると練習時間の確保などで、そのほかの幼稚園生活にも何かと支障がでてきてしまう。ダンスの練習自体は子どもたちが楽しく取り組められればそれはそれで良いのだが、自由遊びの時間が全体的に制限されてしまう現実もあったのです。話し合いの結果、ダンスの教育的価値を鑑み、運動会でのダンスの発表はしないが、運動会後の活動としてダンスを行うことにさせていただいた。

 一般的に幼稚園の教育においては5領域とされるものがあって、これを通じて子どもの成長を導くものとされているものです。その一つひとつは生きて行くために幼児期に培っておくべき力とでもいえるものです。

  • 健康・・・健康な心と体を育て、自ら健康で安全な生活を作り出す力を養う。
  • 人間関係・・・他の人々と親しみ、支え合って生活するために、自立心を育て、人とかかわる力を養う。
  • 環境・・・周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもってかかわり、それらを生活に取り入れていこうとする力を養う。
  • 言葉・・・経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し、相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て、言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。
  • 表現・・・感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにする。

 これら5領域は一つひとつを目的とするものではなく、子どもたちの集団での生活の中で自ずと関連し合っているものです。特に運動会に向けての活動はこの5領域が目に見えて関わってくるものとなっています。お子さんが参加された競技において5領域がどのように関わってるかぜひ想像してみてください。

 さて、運動会が終わり、これから、年中、年長のダンスや園児フェスティバルに向けての活動の中でこの5領域が上手く関連し合いながら子どもたちの成長が導かれることと思います。実りの秋となります。子どもたちの豊かな成長の実りを感謝と喜びを持って支えていきましょう。

2021年 9月

 心かよわせて            園長 佐 竹 和 平 

 

 園だよりではカリキュラムのページにその月の願いが記されています。このような思いを持ってこの月を過ごして欲しいというものです。4月の「ひとりひとりの名を呼んで」は入園、進級の月に名前を呼び合える関係性に気付いて欲しいという願い。神様が一人ひとりの名前を呼ばれていることに気付いて欲しいという願いがありました。5月は「動き出し」とあって、幼稚園の新しい環境に慣れてきた子どもたちが主体的に活動して欲しいという願い。6月には「やってみたい」とあって、興味、関心が広がっていくような環境の中で子どもが伸び伸びと活動できるよう。そして、1学期の終わりの7月には「心ゆくまで」とあって、一人ひとりの子どもが、それぞれの幼稚園生活をじっくりと、丁寧に過ごすことが出来るようにとの願いが示されていました。

 

 さて、2学期の始まりの9月のそれは「心かよわせて」とあります。なんか、演歌の歌詞にでてくるようなフレーズです。お互いに気持ちが通じ合う、お互いに思いが合うという意味となります。「神様と心かよわせて」「お友だちと心かよわせて」「親や教師と心かよわせて」「生き物や植物などの自然と心かよわせて」と心かよわせる対象は様々にあります。1学期の生活、夏休みを経てきた子どもたちの幼稚園での生活の深まりへの願いも込められています。

 2学期は運動会、園児フェスティバル、ページェントがあります。一人ではなくみんなでやるものです。友だち同士で励ましあい、教えあい、助け合い、そして競い合い・・・集団での生活ならではの経験を子どもたちはたくさんします。当日の仕上がりは良いに越したことはありませんが、大事なのはその過程で子どもたちが何を感じ、何を学んだかにあります。その過程においては意見や思いのすれ違いもあるでしょう。自分の考えと違う相手がいることに不満を覚える子もいます。しかし、大きな目的をみんなで共有し合い、少しずつ心をかよわせていく過程が子どもたちにとって大きな成長の経験になるのです。

 さて、私たち大人は心かよわす相手がいますか。家族の関係ではどうですか。特にお子さんと心がかよっていると感じておられますか。「はやくしなさい!」「しっかりしなさい!」「だから言ったでしょ」「なんでそんなこともできないの」 子どもには子どものペースや言い分、特性があるのに、一方的に大人の価値観を押しつけるこのような言葉がけでは子どもと心がかよわなくなります。子どもには子どもなりの自尊感情がありますから、それを傷つけていいわけがありません。できないことを責めるのではなく、できるようにサポートする、できるようになるまで待ってあげることで心がかようことになるのでしょう。