心かよわせて 園長 佐 竹 和 平
園だよりではカリキュラムのページにその月の願いが記されています。このような思いを持ってこの月を過ごして欲しいというものです。4月の「ひとりひとりの名を呼んで」は入園、進級の月に名前を呼び合える関係性に気付いて欲しいという願い。神様が一人ひとりの名前を呼ばれていることに気付いて欲しいという願いがありました。5月は「動き出し」とあって、幼稚園の新しい環境に慣れてきた子どもたちが主体的に活動して欲しいという願い。6月には「やってみたい」とあって、興味、関心が広がっていくような環境の中で子どもが伸び伸びと活動できるよう。そして、1学期の終わりの7月には「心ゆくまで」とあって、一人ひとりの子どもが、それぞれの幼稚園生活をじっくりと、丁寧に過ごすことが出来るようにとの願いが示されていました。
さて、2学期の始まりの9月のそれは「心かよわせて」とあります。なんか、演歌の歌詞にでてくるようなフレーズです。お互いに気持ちが通じ合う、お互いに思いが合うという意味となります。「神様と心かよわせて」「お友だちと心かよわせて」「親や教師と心かよわせて」「生き物や植物などの自然と心かよわせて」と心かよわせる対象は様々にあります。1学期の生活、夏休みを経てきた子どもたちの幼稚園での生活の深まりへの願いも込められています。
2学期は運動会、園児フェスティバル、ページェントがあります。一人ではなくみんなでやるものです。友だち同士で励ましあい、教えあい、助け合い、そして競い合い・・・集団での生活ならではの経験を子どもたちはたくさんします。当日の仕上がりは良いに越したことはありませんが、大事なのはその過程で子どもたちが何を感じ、何を学んだかにあります。その過程においては意見や思いのすれ違いもあるでしょう。自分の考えと違う相手がいることに不満を覚える子もいます。しかし、大きな目的をみんなで共有し合い、少しずつ心をかよわせていく過程が子どもたちにとって大きな成長の経験になるのです。
さて、私たち大人は心かよわす相手がいますか。家族の関係ではどうですか。特にお子さんと心がかよっていると感じておられますか。「はやくしなさい!」「しっかりしなさい!」「だから言ったでしょ」「なんでそんなこともできないの」 子どもには子どものペースや言い分、特性があるのに、一方的に大人の価値観を押しつけるこのような言葉がけでは子どもと心がかよわなくなります。子どもには子どもなりの自尊感情がありますから、それを傷つけていいわけがありません。できないことを責めるのではなく、できるようにサポートする、できるようになるまで待ってあげることで心がかようことになるのでしょう。