園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2018年 4月

エスさまとともに生きる 〜愛の交わりの中で〜 
                      園長 佐 竹 和 平 

 4月は新しい出会いのときです。新入園の子どもたちの中には、初めての集団生活にとても緊張し、不安な気持ちでいっぱいの子もいるでしょう。進級の子は新たな友だち、新たな先生にワクワクしているのではないでしょうか。保護者の方は不安と期待を胸に抱き、子どもを園に送り出す日々となるでしょう。子どもや保護者の不安や期待を受け止めつつ、教職員一同、協力し合って安心、喜びの日々になるように努めて参ります。

 始業式では進級の子どもたちは一人ひとり先生からバッチを胸につけてもらいました。入園式では菊池牧師が入園の子どもたち一人ひとりと握手をして回りました。その後には全園児の点呼が各クラスの先生によりなされました。不安な気持ちを持っているそれぞれの子どもたちを「クラスの中の一人、大勢の中の一人」として見るのではなく、一人ひとりの名前、顔、声、動きをしっかりと覚え「私とあなた」という関わりを深めたいとの思いです。一人ひとりの子どもとの出会いを大切にしていきたいと願っています。

 ドレーパー記念幼稚園はキリスト教主義の幼稚園としてそのカリキュラム(教育課程)はキリスト教保育連盟の示すものに準拠しています。年間の主題があり、月の主題があり、月ごとの願いがあります。年間の主題は「イエスさまとともに生きる〜愛の交わりの中で〜」とされています。これは聖書(ヨハネの手紙Ⅰ4章1節)にある「愛する者たち、神がこのように私たちを愛されたのですから、わたしたちも互いに愛し合うべきです。」から導かれた主題です。

 「愛」という言葉はキリスト教ではとても大切な言葉です。キリスト教は愛の宗教と言われたりもします。愛は人が生きていくうえでとても大切なものですが、はっきりとこれが愛だと目に見えるものではありません。しかし、確かに愛はあります。幼稚園の誕生会で歌うさんびかに「うまれるまえから」というものがあります。

  生まれる前から 神様に守られてきた友だちの 誕生日ですおめでとう
 
 生まれて今日まで みんなから愛されてきた友だちの 誕生日ですおめでとう

 今、目の前にいる子どもは母親の胎内にいるときから大切に神様に守られて生命を受けた子どもです。生まれてから今日まで神様、イエス様、家族から愛され、大切にされてきた子どもです。目の前にいる子どもの存在は目に見える愛とも言えるのではないでしょうか。愛はもちろん人との関わりの中でも見ることが出来ます。子どもと子ども、子どもと保育者、子どもと保護者、保護者と保育者、保護者と保育者との交わりの中に愛を見ることがあります。そして何よりイエスさま、聖書の教えの中に愛を見ることができます。 

 この一年もたくさんの愛を子どもも保護者も保育者も見られるように、その喜びを共有できるようにと願っています。

2018年 3月 希望

                      園長 佐 竹 和 平 

 幼稚園の毎日の礼拝では聖句暗唱を行っています。おはようブックの左ページのリトルジョイの絵の下に記されている月ごとの聖句をみんなで声をそろえて言うのです。この一年、どのような聖句があったか、お子さんと一緒にぜひ、読み返してみてください。

4月 わたしは よみがえりです いのちです
5月 いつまでも のこるものは しんこうと きぼうと あいです
6月 みよ わたしは あたらしいことをする  いま もうそれが おころうとしている
7月 ひかりの こどもらしく あゆみなさい
8月 あなたの りんじんを あなたじしんのように あいせよ
9月 わたしたちは たがいに あいしあいましょう
10月 たねをまくひとは みことばをまくのです
11月 へいわをつくるもの はさいわいです
12月 きょう ダビデのまちで あなたがたのために すくいぬしが おうまれになりました
1月 しゅは あなたを まもるかた 
2月 かみは よろこんで あたえるひとを あいしてくださいます
3月 あいは けっして たえることがありません

 3月のカリキュラムのテーマは「希望」となっています。この希望の聖句は5月に暗唱しています。「いつまでも残るものは信仰と希望と愛です」と聖書には記されています。神様は私たちのことを愛してくださっています。その愛を受けていると信じて生きていくことが信仰です。愛に基づく信仰があれば神様は私たちの人生を必ず良いように導いてくださると希望が持てるのです。信仰、希望、愛この3つをいつまでも残るものとしています。なぜ、いつまでもの残るのでしょうか。目には見えない物で、心の中にあって壊れないし、人に盗られないものだからです。形あるもは古くなり、壊れたり、無くしたりすることがあります。しかし、信仰、希望、愛はそれがしっかりとしたものであればいつまでも残るのです。これが人生を歩んでいく上での土台となるのです。ドレーパー記念幼稚園で過ごす中でお子さんのみならず、保護者の皆さまにもこのことが少しでも伝わっていればとの願いを持っています。

 いよいよ2017年度のドレーパー記念幼稚園の生活も終わりが近くなってきました。年長のほし組さんは幼稚園を卒業し、4月からは小学校へ進学、年少、年中は進級となりそれぞれ新しい環境の中での幼稚園生活となります。どのような環境の中にあっても、神様の祝福とお守りをいただいて、安心して生活ができるようにとお祈りしています。

2月 育ちあう

                    園長 佐 竹 和 平 

 わ〜すれな〜いで〜いつもイエスさまは〜きみのことを〜みつめている〜♪ 2月のさんびかは「忘れないで」です。この時期、年長のほし組は卒業の言葉も多く聞くこととなり、幼稚園を卒業し、小学校に行くことへの喜びと不安をもって生活しています。年少、年中はそれぞれ進級に向けて、憧れの一つ上のバッチに期待をふくらましている子もいるようです。そのようなときに、忘れないで欲しいことがあるので、2月にこのさんびかを歌っています。

 忘れないで欲しいことは、みんなが神様、イエス様に愛され、守られている大切な存在だと言うこと。そして、みんな、一人ひとりが大切な存在なので、互いに愛し合いましょうということ。困っている人がいたら助けてあげましょうということ。幼稚園に在園している皆さんはこのことを礼拝の中で聞き、友だちとの関係の中で体験し、行ってきていたのだから、忘れないでいて欲しいのです。いつも忘れずに生活することはないかもしれません。でも、辛いとき、嫌なことがあったときに思い出して欲しいのです。それは希望になるでしょう。うれしいときにも思い出して欲しいのです。それは感謝になるでしょう。大切なことをしっかり持って、忘れずに人生を歩んで欲しいと願っています。

 2月のカリキュラムのテーマは「育ちあう」となっています。子どもの育ちの上で最も大切なのは家庭、親と子の関係です。親と子の関係の中で愛し、愛される絆が基いとなって社会(幼稚園)における人間関係が広がっていきます。親と子の関係で育ちあいは見られますが、やはり、最もその育ちあいが引き出されるのが子ども同士、友だちとの関係です。先日は園内でコマ大会を行いましたが、コマを回すコツを教え合う姿。上手く回せたら喜び合う姿。失敗したら励まし合う姿が見られます。育ちあうのです。園庭では縄跳びが行われています。首には縄跳びカードをぶら下げて、出来たらシールを貼ってもらいます。得意になって園長に見せに来てくれる子どもたちです。その子を見て、自分も頑張ろうと一生懸命に取り組む子がいます。競い合いの中で育ち合うのです。一人では頑張らないかもしれないけど競い合う相手がいるから頑張り、育つのです。こういう育ち合う仲間がいることが大切なのです。

 笑いあって、泣きあって、喜びあって、協力しあって、分けあって、時には争いあいもありました。愛しあって、歌いあって、祈りあった仲間です。幼稚園生活を通じて、お子さんのみならず保護者の方も仲間ができたのではないでしょうか。育ちあう仲間づくりは幼稚園だけでなく、ずっと続いて行きます。人が育っていくうえではどのような人と仲間になるかはとても重要なことです。幼稚園での仲間づくりの経験を活かし、その場その時にあって、素敵な仲間がお子さん共々、保護者の皆様にも与えられるよう願っています。

1月 守られて

                       園長 佐 竹 和 平 
 毎月のカリキュラムの中にある【願い】とは、このような経験を子どもたちにしてもらいたいという願いであり、教師はこの願いが叶えられるような環境づくりをしていく必要があります。「環境」というのは幼児教育における重要な単語で、幼稚園教育要領には「幼児教育は幼児期の特性を踏まえ、環境を通して行うもの」と示されています。ここで言う「環境」とはその子の周りにあるもの全てです。園庭ではブランコやすべり台などの備え付けの遊具、スクーターやシャベルなどの遊具、砂場、土、水、木、花、動物、太陽・・・。 室内ではピアノ、机、おもちゃ、壁面、絵の具、クレヨン、ねんど、絵本・・・。環境の中には人(友だち、異年齢の子ども、保護者、教師)も含まれます。かけっこ、歌、礼拝、お弁当なども環境です。教師はその日、そのクラス、その季節、その気候を考慮し、子どもが育っていく過程において必要な体験ができるような環境づくりを心がけています。保護者の皆様にもこの環境作りにご理解、ご協力いただいていることも多くあります。

 1月の願いの中に「繰り返し取り組むことで、原因を見つけたり、コツをつかんだりする」とあります。この時期には環境の中に「こま」が入ってくることを想定しての「願い」です。幼稚園では年齢、段階に併せて異なるこまで子どもたちは遊ぶことになっています。年少さんは手のひらを使って回すこま、年中さんは引きごま、年長さんは投げごまです。それぞれの年齢にとってちょうど良い難しさがあります。ここでの環境は「こま」があると言うだけではなく、こまが回せる子がいる、回せない子がいる。年少中児から見ると年長さんのこまは難しそうで、あこがれを持ち、年長になったら出来るんだと期待を持ちます。年長児にしてみると、年中、年少のこまはもう体験済みという自信があることも環境に含まれます。教え合う、見せ合う、喜び合う環境があります。そのような環境の中で「繰り返し取り組むことで、原因を見つけたり、コツをつかんだりする」という体験をしてもらいたいというのが「願い」なのです。単にこまが回れば良いというのではなく、この経験を通じて、生きていく力を養って欲しいという願いなのです。

 「健康に過ごすための生活習慣を身につける」ではこの時期、インフルエンザ、風邪などが流行しますが、早寝、早起き、食事、うがい、手洗い、歯磨き、顔洗い、衣服の選択、着脱などを子どもが自分の判断でできるように育つ環境作りが求められます。

 「神様が守り、導いていることを知る。」という「願い」も示されています。クリスマスを経て、神様が私たちにイエス様を授けてくださったことの意味を知り、共に喜ぶ経験をした子どもたちです。今一度、丁寧に「あなたは神様に守られ、導かれている大切な子です」というメッセージが子どもたちに伝わるよう願っています。

12月 賛美

                      園長 佐 竹 和 平 
 
改めて考えて見ると体全身を使って登るような場所は園庭にも近所の公園にも無いので子どもにとっては大いに刺激になるのであろう。年長の教室と階段にロフトを作ってみた。園庭にはボルダリングと階段梯子で登るボックスを作ってみた。登るのが好きな、挑戦することが好きな子どもたちの姿がみられた。

 「感覚統合」という言葉があって、私たちはいくつもの感覚を持っていて、それを統合させて日常の生活をしていることになっています。脳に送られてくる様々な情報を必要な物と不要な物に整理し、関連づける作業、統合した結果が私たちの日常の動作と言うことです。道を歩いていて目の前に石ころがあるとする。石ころは目の前以外にもいくつもあるが、目の前の石は情報としては大切な物で、そのまま踏んでもいいか、避けるか判断しなければならない。判断した結果、足の着地点を石を踏まない場所に少しずらす作業を行っているのです。

 乳幼児はこの感覚統合を発達させる段階です。そして、登る、降りるの際には一生懸命、感覚統合をしているのです。手をどこにかけたら良いか、その次に足はどこに持って行けば良いか。その次の手は、足は・・と様々な情報の中から今自分に必要な情報を取捨選択して、体を動かすのです。最初は登れなかったのに、何度か挑戦したら登れるようになったということは、感覚統合を上手く行えるようになったということなのです。

 この感覚統合という作業はとても大切なことで近年では感覚運動遊びという表現もなされるようになって、子どもたちの成長を促す視点の一つになっています。子ども自らがやりたいという気持ち(主体性)を持って行う全身を使った楽しい遊びを通じて自分に今必要な情報は何かを選択しつつ、体を動かす。上手くいけば達成感が得られ、出来なかった際には次には出来るようになろうという意欲を持つようになるのです。
 
 12月のカリキュラムのテーマは「賛美」となっています。ドレーパー記念幼稚園ではクリスマスの礼拝と共に全園児で取り組むページェント(聖誕劇)があります。神様が私たちを救うために、私たちに平和をもたらすためにイエス様をこの世に贈ってくださいました。そのことを喜び、感謝するこのページェントは聖歌隊による賛美により劇が進み、最後には全員で声高らかに「もろびとこぞりて」を賛美します。子どもたち保護者の皆様と共に神様が私たちに下さったイエス様の誕生クリスマスを期待を持って迎えたいと願っています。

2017年 11月 一緒に

                      園長 佐 竹 和 平 
 

 以前にも書いたのですが、大切なことなのでまた記させていただきます。新しい幼稚園教育要領にある「教師のあるべき姿」についての部分。

『教師は幼児との信頼関係を十分に築き、幼児が身近な環境に主体的に関わり、環境との関わり方や意味に気づき、これらを取り込もうとして、試行錯誤したり、考えたりするようになる幼児期の教育における見方、考え方を生かし、幼児と共によりよい教育環境を創造するように努める。』(太字部分が今回の改正で追記されたもの)

 主体的、主体性とは自分の意思、判断で行動することです。太字の追記した部分を抜かして読むのと、太字の部分も読むのとでは大きく異なっていることにお気づきになるでしょう。集団での生活の中では一人ひとり異なる個性、能力があり、異なる主体性があります。そのような中で、どうしたらこのような教育が出来るのか、今、幼児教育の現場、その責任者の園長にはその重責がのしかかってきています。
 
 そのような折、園庭、遊具の研究をされている方のお話を聞く機会がありました。単なる運動能力を鍛えるための遊具、友だちと楽しく過ごす場所としての遊具ではなく、子ども自身のやりたい気持ち、難しいことに挑戦したい気持ち、目標を達成したい気持ちを考えて遊具を整備されている方のお話です。3階建ての高い木のタワーがあり、高さ2メートルの所にある一本橋もあります。どれも簡単にできるものではありません。子どもたちが挑戦している動画も見ました。中には達成に一年かかる子もいるそうです。誰に言われるでもなく、自分の心の中にある、やりたい気持ちが見られました。

 その話しを受け、ドレーパー記念幼稚園の園庭を見渡すと、挑戦するような遊具が少ないことに気づきました。そこで、まず取りかかったのが「のぶらはむのいえ」です。登りにくくしてみたのです。多くの園児にとって、今までは簡単に登れたので、挑戦する気持ちも必要ありません。2階に行っても、3階に行っても特段の達成感も優越感もありません。しかし、登りにくいとなると少数の者しかそこにいけないのです。挑戦したくなります。挑戦してもできなくてあきらめる子もいます。できなくてもまた、挑戦する子もいます。

 幼稚園教育要領にある幼児が環境に主体的に関わる・・試行錯誤・・というのが見えてきたように思います。なお、挑戦しているときは子ども自身が試行錯誤している最中です。成長している最中です。大人がその方法を教えたり、手伝ったりしたらせっかくの機会を失うことになるのでご注意ください。園内の遊具の整備は子どもの動きをよく見て、怪我の無いように配慮しつつ進めていきます。また、遊具に限らず、子どもの育ちと環境の関係をよく観察し、幼児の主体性を重んじる教育の充実を図れるようにと思っています。

 11月のカリキュラムのテーマは「一緒に」となっています。4月から一緒に遊び、一緒に歌い、一緒に笑い、一緒に祈り・・・と子どもたちは一緒の生活をしてきています。2学期になり、運動会を終えるとこの一緒がさらに深まり、園児フェスティバル、クリスマスへと・・子どもたちの生活はさらに充実したものとなっていきます。

2017年10月 動く

                      園長 佐 竹 和 平 
 
 運動会では子どもたちの成長している姿、最後まであきらめずに頑張っている姿、友だちを応援し、励ます姿を見ることができてうれしかったです。特に各学年のダンスは子どもたちの成長を見るよい機会となりました。年長さんのダンスは難しい隊形移動も、子ども同士で声をかけあいながら行っていました。衣装も自分たちで作った物で、楽しそうにみんな踊っていました。年中さんのダンスは「OK!」の掛け声とともにみんなリズムにのって体を動かしていましたね。バンダナを気持ちよさそうにグルグルまわしていました、自分たちで作った腕につけたブレスがキラキラで素敵でしたね。年少のひよこ組のダンスはかわいいパンダさんでした。練習では踊れていたのに、お客さんがたくさんいたからか、踊らずにいた子もいましたね。でも、大丈夫、来年はきっと踊れるようになります。年中さん、年長さんの姿がそれを示してくれていました。

 運動会は種目によっては競い合いもしますが、その多くは競い合うの反対の協力し合うものとなっています。一人ではできないこと、みんながいて、協力しあうからできることを楽しむのが運動会です。年中さんのパラバルーン、年長さんの組み立て体操、リレーなどは協力しあう喜びを体験を持って自分のものとする競技です。このような経験により、これからクラスとしてのまとまりが今まで以上に出てくるようになります。

 10月のカリキュラムのテーマは「動く」となっています。子ども自身が主体的に「動く」ことが大切です。朝、子どもが目を覚ます。起きて顔を洗い、ご飯を食べる。トイレに行って、歯を磨いて、服を着て、幼稚園に行く準備をする。この朝の日常の中であなたのお子さんは動いていますか?それとも動かされていますか? 保護者の皆さんの中には子どもを動かせすぎている方もいるかもしれません。やるべきことを伝えて、子どもを動かすほうが簡単ですが、そのようにしていると言われたことだけしかしないようになっていくかもしれません。子どもが自主的に動く環境、言葉がけを心がけていきましょう。

 幼稚園では子どもが動きたくなるような環境を作っていく必要があります。動くのは何も身体だけではありません。心も動くような環境を作って行かなければなりません。運動会を終えて仲間意識も強まりました。外での遊び、室内での遊びもその内容が深まって行く時期です。ますます楽しい幼稚園生活が導かれるよう教職員一同、心を合わせてまいります。