園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2017年 11月 一緒に

                      園長 佐 竹 和 平 
 

 以前にも書いたのですが、大切なことなのでまた記させていただきます。新しい幼稚園教育要領にある「教師のあるべき姿」についての部分。

『教師は幼児との信頼関係を十分に築き、幼児が身近な環境に主体的に関わり、環境との関わり方や意味に気づき、これらを取り込もうとして、試行錯誤したり、考えたりするようになる幼児期の教育における見方、考え方を生かし、幼児と共によりよい教育環境を創造するように努める。』(太字部分が今回の改正で追記されたもの)

 主体的、主体性とは自分の意思、判断で行動することです。太字の追記した部分を抜かして読むのと、太字の部分も読むのとでは大きく異なっていることにお気づきになるでしょう。集団での生活の中では一人ひとり異なる個性、能力があり、異なる主体性があります。そのような中で、どうしたらこのような教育が出来るのか、今、幼児教育の現場、その責任者の園長にはその重責がのしかかってきています。
 
 そのような折、園庭、遊具の研究をされている方のお話を聞く機会がありました。単なる運動能力を鍛えるための遊具、友だちと楽しく過ごす場所としての遊具ではなく、子ども自身のやりたい気持ち、難しいことに挑戦したい気持ち、目標を達成したい気持ちを考えて遊具を整備されている方のお話です。3階建ての高い木のタワーがあり、高さ2メートルの所にある一本橋もあります。どれも簡単にできるものではありません。子どもたちが挑戦している動画も見ました。中には達成に一年かかる子もいるそうです。誰に言われるでもなく、自分の心の中にある、やりたい気持ちが見られました。

 その話しを受け、ドレーパー記念幼稚園の園庭を見渡すと、挑戦するような遊具が少ないことに気づきました。そこで、まず取りかかったのが「のぶらはむのいえ」です。登りにくくしてみたのです。多くの園児にとって、今までは簡単に登れたので、挑戦する気持ちも必要ありません。2階に行っても、3階に行っても特段の達成感も優越感もありません。しかし、登りにくいとなると少数の者しかそこにいけないのです。挑戦したくなります。挑戦してもできなくてあきらめる子もいます。できなくてもまた、挑戦する子もいます。

 幼稚園教育要領にある幼児が環境に主体的に関わる・・試行錯誤・・というのが見えてきたように思います。なお、挑戦しているときは子ども自身が試行錯誤している最中です。成長している最中です。大人がその方法を教えたり、手伝ったりしたらせっかくの機会を失うことになるのでご注意ください。園内の遊具の整備は子どもの動きをよく見て、怪我の無いように配慮しつつ進めていきます。また、遊具に限らず、子どもの育ちと環境の関係をよく観察し、幼児の主体性を重んじる教育の充実を図れるようにと思っています。

 11月のカリキュラムのテーマは「一緒に」となっています。4月から一緒に遊び、一緒に歌い、一緒に笑い、一緒に祈り・・・と子どもたちは一緒の生活をしてきています。2学期になり、運動会を終えるとこの一緒がさらに深まり、園児フェスティバル、クリスマスへと・・子どもたちの生活はさらに充実したものとなっていきます。