園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2017年 6月 不思議

                       園長 佐 竹 和 平 
 子どもの成長を導く道標として定められているカリキュラムの今月のテーマは「不思議」となっています。子どもたちには不思議だなと思うことを経験しながら、その不思議なことの意味を自分なりに解釈する経験をしてもらいたいと思います。
子ども自身が不思議だなって思ったことを、子どもが持つ豊かな想像力で自分なりの答えを考え出す経験です。

 どうして雨ってふるんだろう?大人が子どもに質問するのではなく、雨の日で外で遊べない、つまんない。なんで雨って降るんだろう?そういう自分の中からでる不思議だなと思う気持ちが大切なのだと思います。「神様が泣いているのかな・・それとも神様のおしっこ・・!?・・もしかしたら、昨日、友だちに意地悪なことしたから神様が怒っているのかも・・」子どもはそんな風に考えるかもしれません。
この答えを否定する必要はないかと思いますが、状況によっては、その不思議なことの意味を大人が説明すること、調べる方法を教えてあげるのもいいことです。
子どもの持つ探究心の芽生えを導くことは、生きる力を育てることになります。
不思議だなって思う気持ちが「自分から進んで学ぼうとする」「考えたり工夫したりしようとする」「相手の立場になって考える」などにつながっていくのです。

 新学期から2ヶ月が過ぎ、子どもたちの幼稚園での生活も充実しているようです。朝、喜んで登園してくる子どもたちの姿がうれしいです。今日は先生は何をしてくれるんだろう?今日は何して遊ぼうか・・、誰と遊ぼうか・・、誰と一緒に座ろうか・・。様々な思いで登園してくるその子どもたちの思いに応えていけるように教職員一同、心を合わせ、祈りつつ日々の保育に取り組んでいます。

 保護者の皆さまの中には、新しい環境の中で戸惑いも多くあった4月、5月かと思います。家とは明らかに異なる子どもの姿を見て、聞いて驚かれている方もいるでしょう。お子さんのことで不安や疑問などありましたら、遠慮なく教師にお尋ねください。
保護者と幼稚園が協力し、情報の交換をしあいながら子どもの成長を導いていきましょう。

2017年 5月 見つける

                        園長 佐 竹 和 平 
 現在行われている幼稚園教育要領の改訂は前回の改定から10年が経ち、この間、社会の環境、子どもたちの置かれている環境が大きく変化しており、且つ、その変化はこれからも進むであろうことを見越しての改定となります。幼児教育のみならず小学校、中学校、高校、大学の教育要領も改訂していこうというもので大掛かりな教育改革となります。その狙いは幼児期の教育からその質を高め、成長と共に多くの能力(21世紀型能力)を身につけ、「生きる力」を持つ人、社会に貢献できる人材を育てようということになるようです。

 教育要領の中では、小学校入学前までに育ってほしい姿として、10項目が挙げられています。
  ①健康な心と体 
  ②自立心 
  ③協同性 
  ④道徳性・規範意識の芽生え 
  ⑤社会生活との関わり 
  ⑥思考力の芽生え 
  ⑦自然との関わり・生命尊重 
  ⑧数量・図形、文字等への関心・感覚 
  ⑨言葉による伝え合い 
  ⑩豊かな感性と表現 
これらのものが幼稚園生活の中で育まれるべきものとされています。

 このような成長をするために教師のあるべき姿として「教師は幼児との信頼関係を十分に築き、幼児が身近な環境に主体的に関わり、環境との関わり方や意味に気づき、これらを取り込もうとして、試行錯誤したり、考えたりするようになる幼児期の教育における見方、考え方を生かし、幼児と共によりよい教育環境を創造するように努める。」と新しい教育要領には記るされています。(太字部分が今回の改正で追記されたもの)

 5月のカリキュラムのテーマは「見つける」となっています。少しずつ慣れてきた幼稚園生活の中で子どもたちはいろんなものを見つけています。楽しい先生、遊んでくれる先生、優しい先生を見つけます。気のあう友だちを見つけますし、気の合わない友だちも見つけます。好きな遊び、好きな場所を見つけます。良いもの、悪いもの、いろんなものを主体的に見つけるその経験が子どもの成長に大切なのです。大人が先回りして“見つけさせる”ような環境をつくる、先に答えを伝えるのではなく、子どもが主体的に“見つける”ことができる環境を大切にする月となります。

 子どもの幼稚園生活もいよいよ深まってきた感のある5月です。保護者の皆様の活動も活発になります。お子さんのみならず保護者の皆様も幼稚園でいろんなものを見つけて、楽しく過ごされるよう願っています。

2017年 4月 出会う

                   園長 佐 竹 和 平 
 ドレーパー記念幼稚園はキリスト教保育連盟に所属しており、カリキュラム(教育課程)はこの連盟の資料に基づいて決められます。今年度の年主題は「愛されて育つ」となっています。それは年主題聖句「あなたがたは神に愛されている子どもです。(エフェソの信徒への手紙5章1節)」を基に定められたものです。「愛される」とは「大切にされる」ということでしょうか。「神様に愛されている子どもを、私たちも愛して育てる。神様に大切にされている子どもを、私たちも大切に育てる。」というのが今年の主題です。子育ては時に大変で、辛いとき、苦しむ時もあります。「愛すること」「大切にすること」を忘れてしまうことがあるかもしれません。そのような時にこの年主題を思い出して欲しいのです。目の前にいる子どもは「神に愛されている、大切な子ども」だということを。

 この年主題「愛されて育つ」を基に毎月の主題が定められ、4月は「出会う」となっています。4月は新しい出会いが与えられる月です。様々な出会いがあるでしょう。この出会いこそが人生を豊かに喜びにあふれたものにしてくれます。初めてのお友達、初めての先生。みんなで遊ぶこと、歌うこと、食べることの楽しさとの出会い。子どものみならず保護者の皆様にも新しい出会いが多くあることでしょう。、一生の友だちに出会うこともあるかもしれません。新たな自分に出会うかもしれません。園長としては保護者の皆さんにはせっかくドレーパー記念幼稚園に関わっているのですから、聖書、教会に出会って欲しいと願っています。そこに、神様、イエス様との出会いがあり、喜び、祈り、感謝の日々が導かれると私は思います。聖書は昔に書かれた書物です。しかし、その内容は決して古びず、今もそれを読む者に生きる力を与えてくれているので、世界中で読まれているものです。聖書の中にはこのように書かれています「聖書はすべて、神の霊の導きの下に書かれ、人を教え、戒め、誤りを正し、義に導く訓練をするうえに有益です。(新約聖書テモテへの手紙2 4-16)」

 2017年度のドレーパー記念幼稚園の歩みは園児100名とその保護者、教職員16名による生活です。園児のみならず、保護者の皆さまにも教職員にも楽しい幼稚園生活となるよう園長の私はこの年も多くの皆様のお力添えをいただきながら幼稚園運営にあたって参ります。どうぞよろしくお願いいたします。

2017年 3月 希望 

                    園長 佐 竹 和 平 

2月から3月にかけて園長会食が行われました。卒業を控えている5名の年長さんが園長の部屋に来て一緒にお弁当を食べます。幼稚園での出来事、みんなの好きなものなどの話をして楽しく過ごします。
ある日の会話・・恋の話が盛り上がった流れで・・

園長 「A君は大人になったら誰と結婚したい?」
A君 「俺はB君と結婚する!」 (B君・・苦笑い・・)
C君 「俺は鉄棒と結婚する!」 (鉄棒が得意な子なのです)
B君 「鉄棒は冷たくね!?」 (たしかに・・ひやっとします)
園長 「だったら・・こたつと結婚したらいいんじゃない?」(良いこと言ったつもり・・)
B君 「こたつは夏はじゃまでしょ! エアコンが良いよ」(確かに・・・)
C君 「じゃあ 俺、エアコンと結婚する!」 (納得しちゃった・・)

空想、想像と現実を織り交ぜにして物事を考えられるのは、この時期の子どもが持っているとても素敵な能力で、残念ながら大人になるとこのような能力は失われていってしまいます。こんな素敵な、楽しい子どもの声をしっかり聴き取っていきたいと思います。

「根っこを育てる幼稚園」という表現を使わせていただいています。根っこがしっかりと育ってないと、後で伸びることが出来ない、花を開き、実をつけることができません。花や実のことを焦って考えすぎずに、幼稚園ではこの根っこをじっくり、大切に育てますよという思いです。この“根っこ”とは何かというと教育的用語としては“自己肯定感”ということになります。自分は自分で良いという考えを持てるようになるということです。この自己肯定感を育むのに必要なことは子どもの話を聞いてあげることです。もっと言うと〝聴き取る″ことです。自分の言うことを聴き取ってもらとうれしいです。聴き取ってもらうと、もっと表現しようとしますし、人の話しも聴くようになるのです。聴き取ってもらうと、自分が愛され、大切にされていると知るようになるのです。保育者、保護者が子どものためにやるべきことは子どもの言うことを聞き流すのではなく、聴き取ることが大切なのです。

今年度最後、3月のカリキュラムのテーマは「希望」となっています。希望とは信じることです。どんな状況にあっても大丈夫と信じることです。信じることができる自分になるために必要なことは自分が神様と人に愛され、神様と人を愛してきた経験と実感です。年長さんは幼稚園を卒業し小学生になります。年少、年中さんはそれぞれ進級します。
4月から新しい環境になります。最初は不安、戸惑いもあるでしょう。でも、大丈夫です。この一年でみなそれぞれの根っこが育ちました。
家族、友だち、保育者、神様に愛されて育ったこの一年です。希望に満ちあふれた子どもたちが目の前にいます。この時を共に喜び合えることに感謝です。

2017年 2月 信頼

信頼               園長 佐 竹 和 平
 
 日本の子どもたちの読解力の低下が著しいと新聞に載っていました。経済協力開発機構による調査では15歳の読解力が4位から8位に下がってしまったようです。学校での試験では問題文の内容自体が理解できないために答えられないケースも多くなってきているとのこと。教育現場のみならず職場でも新入社員の読む力、書く力の低さに頭を悩ませている企業も多いとか。このような読解力、国語力の低下もここ最近の事ではなく、「活字離れ」ということと共にもう何年も前から言われてきていましたが、ここ数年のスマートフォンSNS・ライン・ツイッターの普及がその速度を速めているのでしょう。

 「知ることは感じることの半分も重要ではない」という言葉はアメリカの生物学者で1960年代に「沈黙の春」で地球環境の保護を訴えたレイチェル・カーソンがその著作「センス・オブ・ワンダー」の中で述べられたものです。「感じることが大切」で知ることは後からということです。子どもは生まれながらに「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」を持っています。そうした感性を育むには、感じたことを分かち合ってくれる大人がそばにいることがなによりも重要だというのです。

 寒い日に子どもが寒いと感じたら一緒になって「寒いね〜」と、きれいなものを見て子どもがきれいだなと感じたら一緒になって「きれいだね〜」と、一緒に絵本を読んで面白かったら、一緒に「面白かったね〜」と言い合う体験。そのような体験を通じて感動することの喜びを子どもは自分のものにしていくのです。子どもと一緒に感動する。そのことから始めましょう。感動するからその対象となるものについてもっとよく知りたいと思うようになるのです。そのようにして見つけだした知識は、しっかり身につきます。これが知識欲を育む道筋となります。活字離れ、国語力の低下を食い止めるには幼児期に感動する心をしっかり育み、成長の過程で知ろうとする意欲を定着させることが大切なのです。

 2月のカリキュラムのテーマは「信頼」となっています。幼稚園では保育者と子どもの信頼関係を築くことからスタートして、子どもが安心して生活できる場所としての幼稚園であるようにします。その安心して生活できる幼稚園の中で子ども同士の信頼関係が育まれていきます。人を信頼し、人に信頼される経験をしていくなかで成長していきます。信頼関係はどのようにして築かれて行くのでしょうか。先に記したのと同じです。一緒に感動することの中から信頼関係は生まれて行きます。せっかく子どもと一緒にいるのに大人がスマホを見ているようでは一緒に感動することはできません。子どもたちの世界は大人と違って新鮮で、驚きや発見に満ちあふれています。一緒に感動しましょう。子どもとの信頼関係をこの幼児期に確かなものにしていきましょう。

2017年 1月 協同

協同             園長 佐 竹 和 平 

 地域情報紙リベルタに記事を毎週投稿し、掲載していただくようになって4年となります。ドレーパー記念幼稚園のことを地域の人に知っていただくことだけでなく、幼児教育について関心をもってもらいたいとの思いをもっています。時折、「キリスト教主義のホッ育」というというキャッチフレーズを載せることもあります。このフレーズは最初の原稿を考えるときに菊池牧師に考えていただいたものです。キリスト教主義の幼稚園の持つ、優しさと暖かさが「ホッ育」に感じられとても良いと思っています。

 キリスト教に基づいて子どもを見るならば、子どもは何かができる、何かができないとかでその子の善悪が決められるのではなく、存在自体が良いものとされています。聖書には「神はお造りになったものをご覧になった。見よ、それは極めて良かった(創世記)」と記されています。私たちは極めて良いものとして神様が創造してくださったものなのです。この視点で子どもを見るからこそ優しく、暖かい保育、「ホッ育」が出来るのです。

 せっかく良いものとして存在しているのに、世間には自分の子どもはだめな子だというように思ってしまっている親、大人もいるようです。また、せっかく良いものとして存在しているのに親、大人の関わり方が悪くて、子どもの成長を阻害してしまうこともあるようです。

 児童精神科医佐々木正美先生が述べられていますが「過保護」と「過干渉」については保護者、大人に知っておいて欲しいと思います。佐々木先生は「過保護」は良いとしています。子どもの欲求に存分に応えてあげてくださいといっています。十分に保護される環境でこそ子どもは伸び伸びと行動ができます。自分らしさを発揮できるようになります。過保護は自主的でいきいきとした子ども育てるとしています。

 一方の「過干渉」は子どもがやりたくないことをやらせてしまったり、子どもがやりたいことを親がやってしまう、子どもがやりたいことをさせないことです。これでは子どもはいきいきと生活できなくなります。自立の芽が摘まれてしまいます。親は子どもに「こうなってほしい」という気持ちがありますし、その忙しさから子どもの行動を急がせ、時に早くできないと親がかわりにやってしまうこともあり、どうしても過干渉になってしまうようです。

 幼児期にはその違いは明確に現れなくても、成長するにつれて「過保護」と「過干渉」の違いは自主性の有無、自立する力の有無として明確に現れてくるようです。神様がよいものとして私たちにくださった子どもです。急かさずに、親の価値観で決めつけずに、その成長をゆっくりと見守ることが大切なようです。

 1月のカリキュラムのテーマは「協同」とあります。協同とは共に力と心を合わせて助け合って事にあたることとされています。いろいろな場面で協同している子どもの様子を見ることが出来ます。自分一人では出来ないことが協同してできる喜び、自分が助けることによって何かが出来る喜びを子どもがたくさん感じられる1月としていきたいです。

2016年 12月 喜び

  喜び               園長 佐 竹 和 平
 
 子どもたち、保護者の皆様とともに今年もクリスマスを迎えることが出来る喜びに感謝します。幼稚園のクリスマスでは全園児でイエス様のお生まれになった時のことを劇にしたページェント「最初のクリスマス」を演じます。
 
 ページェントではまず、天使ガブリエルがマリアさんの前に現れ、マリアさんが神様の子を生むことになると告げます。マリアさんは驚きましたがそのお告げを受け止めるのでした。マリアさんと夫のヨセフさんは人口調査を受けるために、産まれ故郷のベツレヘムの町に行きます。しかし、どこの宿屋さんも満員でした。ある宿屋さんが、馬小屋でよければ泊まれますよと案内してくれました。その馬小屋で神様の子イエス様が生まれたのでした。たくさんの星がイエス様の誕生をお祝いします。神様の使いである天使に教えられ羊飼いがお祝いにやってきます。導きの星を頼りに東の国の博士たちはらくだに乗ってやってきます。博士たちは持ってきた宝物をイエス様におささげしました。馬小屋の前にはたくさんの羊たちもやってきて、イエス様をお祝いします。最後にイエス様がおられる馬小屋の前にみんなが集まり「きよしこの夜」「もろびとこぞりて」と賛美の歌をささげてフィナーレとなります。この劇の進行はナレーターと聖歌隊の歌によって進んでいきます。

 ページェントはドレーパー記念幼稚園が設立された年からずっと行われています。全園児一人ひとりに役割があり、その一つひとつの役割を大切なものとしてきました。それは馬小屋のような貧しく汚らしいような場所で生まれた一人の赤ちゃんが大切なものとされたのと同じように、どんな役でも、どんな子どもでも一人ひとりが大切だということにつながるからです。

 天地の造り主である神様はご自分がつくった地上に住む人々の心が荒れすさんでいるのを悲しみ、自分の子どもであるイエスキリストをヨセフとマリアを通じてこの世界に贈ってくださりました。それはイエスキリストが救い主となって荒れすさんだ世の中を良くしようと神様が考えたからです。それから2000年以上経ってもまだ、世の中には荒れた心が蔓延し、戦争、貧困などの国際的な問題や、殺人、虐待、いじめなどの地域的個人的な問題があります。

 なぜ、そのような状況にいまだにあるかというと「心をつくし、魂をつくし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい」という神様の教えと、「隣人を自分のように愛しなさい」というイエス様の教えを知らない人がいるからです。

 クリスマスのこの時期は神様が私たちに下さった最高のプレゼントであるイエス様の誕生を喜びあう時期です。それと同時に神様がイエス様を通じて世の人々に伝えたかったことを伝えて行くときがこのクリスマスの時期です。神様、イエス様の思いを子どもたち、保護者の皆様と共有しあいつつクリスマスを迎えたいと願っています。