園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2023年 6月

探ってみる             園長 佐竹 和平

 この6月は実習生を受け入れていて、3名の学生が幼稚園で子ども達、教職員との生活を通じて学びを深めます。その実習生を見ていて、幼稚園教育要領にある「教師のあるべき姿」について改めて確認した次第です。

 『教師は幼児との信頼関係を十分に築き、幼児が身近な環境に主体的に関わり、環境との関わり方や意味に気づき、これらを取り込もうとして、試行錯誤したり、考えたりするようになる幼児期の教育における見方、考え方を生かし、幼児と共によりよい教育環境を創造するように努める。』とあります。ここでは「幼児と共によりよい教育環境を創造する」のが教師のあるべき姿とされています。

 カリキュラムのテーマは4月の「はじめの一歩」、5月の「心地よく」とあり、6月は「探ってみる」となっています。新しい環境の中でのはじめの一歩は緊張もあったことでしょう。そのよう中でも教師が子ども達との信頼関係を十分に築き、子どもにとって幼稚園が心地よい場所となりました。6月はより主体的になって、探ってみる生活です。それは上記の教育要領にあるように、身近な環境(自然、友だち、先生、遊具、時間など)、周りにあるものに対して探求する姿、試行錯誤をしていくことです。

 「試行錯誤」とは「Trial and error」という人間の能力獲得の過程に関する学説を打ち立てたその訳語です。試してみる、失敗するという意味です。人間は何かの能力を身に着ける際には試してみて、失敗をして、また試してみて失敗をして・・・その多くの失敗の中に偶然に成功が現れると、その成功を反復して行うようになるという学説です。発明家のエジソンの言葉には「それは失敗じゃなくて、その方法ではうまくいかないことがわかったんだから成功なんだよ。」とあります。赤ちゃんがハイハイをして、立って、歩くようになる。子どもの成長過程を思い起すとまさに失敗、失敗、失敗・・・試行錯誤です。しかし・・・いつの間にか出来るようになっていきます。

 失敗をせずに最初からなんでも成功することはなく、その過程の失敗が大切なようです。失敗をする環境を幼児と共に造って行きつつ、その失敗の中から成功、出来た、わかったという体験ができるようにすることが教師の役割ということになるようです。