園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2019年 7月 試す

試す                   園長 佐 竹 和 平 

 こんなにダンゴムシが活躍している年は今までになかったかと思います。男の子に限らず、女の子もダンゴムシを探し、捕獲し、カップに集め、自慢げに見せに来てくれます。ダンゴムシはどこにいるのか。人目に付きにくいとこ、湿気のあるところ・・子どもたちはいつの間にか、ダンゴムシがよくいる場所がわかるようになっています。家にダンゴムシを持って帰ったりする子も多くいますが、環境が変わってカップの中の乾燥した中ではすぐに死んでしまいます。子どもたちは、ダンゴムシと言っていますが、中にはワラジムシもいます。ワラジムシはダンゴムシのように丸くはなりません。お腹に赤ちゃんのいるダンゴムシもいます。脱皮をしているダンゴムシもいたりします。小さな生き物、大人は目もくれない、気持ち悪がるような小さなムシを通じて子どもたちは心を動かし、好奇心や探究心を持ってダンゴムシを見つめつつ、自然への関心、愛情を育んでいるようです。

 7月のカリキュラムのテーマは「試す」となっています。挑戦する気持ちを育みたいという思いです。多くの経験をしてきた大人と違って、子どもの毎日には今までやったことの無いことが多くあります。初めてだからこそ、すぐに「試す」子もいれば、初めてなのでなかなか「試す」ことができない子もいます。「試す」のは大人(教師)から言われたことをやる場合もありますし、自分で気づいたことを「試す」場合もあります。どちらも大切なものです。幼稚園は子どもの「試す」という気持ちを引き出し、育むために教師が保育を行っていると言っても良いほど「試す」ことは大切です。保護者の皆さまにも同じ気持ちになっていただきたいと思っています。何しろ自分自身で「試す」ことをしないと経験が増えていきませんからね。

 子どもの「試す」を引き出し、育てるのに大切なのは今、その子どもはどんな気持ちでいるのかということです。どうやったら良いのかの説明も聞かずに「試す」子もいます。ほかのお友だちがやっているのを見て「試す」子もいます。遊んでいる中で、製作をしている中でこうしたらもっと良くなると気づいて自分から「試す」子もいます。書き出したらきりがありませんが、日常のすべての動作が「試す」から始まるものです。今年から行っている保育のドキュメンテーションでは製作やクラス活動、子どもたちの日常の生活が記録されていますが、その中には子どもたちの「試す」姿が多く記録されています。結果だけではなく、その過程、「試す」ことの大切さがよくわかります。目の前にあるモノ・コトに対して今、子どもはどんな気持ちでいるのかを見極め、焦らずに、先回りして口出ししないように、しかし、必要な後押しはできるようにしたいものです。

 間もなく、梅雨も明けて本格的な夏の暑さがやってくるでしょう。皆様が健康に過ごされますようお祈りしています。