園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2020年 9月

友だちとともに                    園長 佐 竹 和 平 

 文部科学省の定める幼稚園教育要領の中には幼児期の終わりまでに(小学校入学前までに)育ってほしい姿として10の項目が挙げられています。

 ①健康な心と体 

 ②自立心 

 ③協同性 

 ④道徳性・規範意識の芽生え 

 ⑤社会生活との関わり 

 ⑥思考力の芽生え 

 ⑦自然との関わり・生命尊重 

 ⑧数量・図形、文字等への関心・感覚 

 ⑨言葉による伝え合い 

 ⑩豊かな感性と表現 

 これらは必ずしも「できる」「できない」で各項目を個人にあてはめるためのものではなく、子どもたちを見る教師の視点、子どもたちが今、どのような資質、能力を身につけようとしているのかを見極めるために定められたものです。

 9月のカリキュラムのテーマは「友だちとともに」とありますから、③の協同性にかかわるテーマとなっています。実際には友だちとの生活のなかで「協同性」だけが育まれるのではなく、ともに取り組む、語り合う中から、上記の他の項目も一緒に育まれることになります。砂場で友だちとともにトンネルを造る、カプラ(積み木)を友だちとともに積み上げる中で協同性、思考力の芽生え、言葉による伝えあいなどが育まれているのです。4月からの幼稚園生活で一人ひとり、自分のペースで友だちとの関係性を築きあげ、協同性が育ってきています。その協同性の中で子どもがどのような育ち、学びをしているかにしっかりと目を向ける月にしてほしいとの願いが今月のテーマです。

 子どもたちの生活では10月の運動会に向けての活動が本格化していきます。幼稚園の運動会は子どもが成長する機会がたくさんつまっています。練習や子ども同士のかかわりあいの中に上記の10の項目がたくさん含まれています。友だちとともに力を合わせてよい物にしようと努力する過程に大いなる学びがあるのです。ですから、運動会当日の目に見える結果、勝ち負けや表現の善し悪し、競技に参加できたかどうかよりも大切なものがあります。それは、その子が運動会にどう向き合ったか、運動会までにその子ども自身がどのように成長したかということです。その成長の姿を運動会当日に感じ取れることができ、保護者、教職員、子どもたちとともに喜びあえる素敵な一日となるよう願っています。

 いわゆるコロナ過とされる中での2学期です。引き続き保護者の皆様にはご不便をおかけし、ご協力を仰ぐことも多いかと思いますがどうぞよろしくお願いします。

2020年 8月

コロナ過の一学期を振り返る             園長 佐 竹 和 平 

 例年、8月の園だよりは年長ほし組のお泊まり保育特集号の様なものになるのですが、今年は残念ながらこの行事は取りやめ。その代りに、何か年長さんだけの特別な行事をしてみようと提案。教師が子どもたちと考え「ほしぐみキャンプパーティー」の開催となりました。一つひとつの活動がとても楽しく、子どもたちも大喜びの一日でした。

 さて、学期の終わりに、この2020年の1学期を振り返っておきます。新型コロナウイルスの感染拡大防止のために緊急事態宣言が4月7日にだされたことを受け、1学期のスタート、始業式や入園式は例年のようには行えず、園庭での始業の日、入園の日という形式で行なわせていただいた。それぞれ式は行えなかったのですが、家族とともにニコニコの笑顔で幼稚園にやってきてくれた子どもたちでした。

 そこから、幼稚園は休園となりました。不要不急の外出を控える、人との接触を7割、8割減らすようにとの国からの要請もありました。そのような中で、幼稚園として子どもたち、家族のために何かできることはないかと考えいくつかの取り組みをさせていただきました。園庭の開放、図書の貸し出し、預かり保育の実施。子どもたちに向けての動画の配信(限定ブログHello!どれーぱー)、ネット掲示板の開設(おしゃべり広場)をしてコミュニケーションがとれるようにもしました。幼稚園からのお手紙やぬりえ、折り紙などを「わくわくにこにこセット」として配布もしました。外出自粛要請下の生活は非常にストレスの多いものでした。家族が全員、ずっと家にいることによるストレスというのもあったようです。休園中の幼稚園の取り組みで少しは皆様のストレス軽減にもお役に立てたのではないかと思っています。

 当初はGW開けには緊急事態宣言が解除される見込みでしたが延長となり、解除となったのは5月25日。ようやく幼稚園の再開が叶い、5月27日を登園日とし、28日から登園する子どもたちの数を制限する分散登園により幼稚園生活を始めることができました。少しずつ子どもたちの幼稚園で過ごす時間を増やしていき、全学年、通常の保育時間にできたのは6月29日になってのことでした。

 行事や活動の中には行なえなかったものや、できなくなったものもあります。子どもたち、保護者の皆様の理解と協力を例年以上に必要とする期間でもありました。そのような中にあっても、子どもたち自身が今の環境を受け入れ、喜びを持って登園し、幼稚園生活を楽しんでくれたことに感謝です。

 夏休みとなります。子どもたち、保護者の皆様の健康に守られ、楽しく過ごされますようお祈りしています。

2020年 7月

遊びこむ           園長 佐 竹 和 平 

 朝の門で登園してくる子どもたちを迎え入れます。みんなとてもいい笑顔で登園してきます。時折、不機嫌な顔で登園してくる子もいます。お母さんとけんかをしてしまったようです。そんな子も園庭に出れば笑顔で遊び出します。降園の時は門で子どもたちを見送ります。みんな笑顔で、幼稚園で過ごしたこの1日を楽しんだ満足感を持って門を出て行きます。中にはすぐに帰りたがらない子もいますが明日も楽しい一日があると望みを持って帰っていきます。子どもたちが幼稚園を好きでいてくれているのがとてもうれしいです。

 7月のカリキュラムのテーマは「遊びこむ」となっています。幼稚園は教育施設です。その教育の中でもっとも大切なことが遊ぶことです。文部科学省の定めている幼稚園教育要領の中には「幼児の自発的な活動としての遊びは、心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習である」と記されています。単なる遊びが重要だとは記されていません。「自発的な活動としての遊び」が重要な学習であるとされています。ここに、教育的配慮が必要で、幼稚園、教師の役割があるのです。

 子どもが遊ぶ環境は様々です。一人で、友だちと、教師と一緒に遊ぶ姿があります。子どもたちそれぞれが自分の思い思いの過ごした方をします。その中で好きな遊びをこころゆくまで繰り返し楽しみ、工夫したり探求したりする。遊ぶことに主体的、積極的に関わっていくことで遊びが深まっていきます。そこに楽しさを味わえるようになること、「遊びこむ」ことで遊びの効能、遊びの教育的意義が高まるのです。子ども自身がそんなことを考えて遊ぶ必要はなく、純粋に遊びに没頭できる環境を教師が作るのです。友だち、教師、遊具、道具、水や太陽、生き物、植物などは目に見える遊びこむための環境です。このほかに「時間」はとても大切です。途切れ途切れでないまとまった時間がないと「遊びこむ」までには行き着かないでしょう。もう一つ大切なことがあります。自分がその場所にいていいと思える感覚。自分が周りから認められ、受け入れられているという感覚。安心感。そのようなものがあるから「遊びこむ」ことが可能になるのです。

園庭で、教室で、子どもたちの「遊びこむ」姿を一つでも多く見られるよう願っています。

 いよいよ7月です。保護者の皆様の活動も少しずつ始まります。引き続き、一人ひとりが新型コロナウイルスの感染拡大の防止に注意しつつ、保護者の皆様も幼稚園生活を楽しんでいただけるよう願っています。

 

2020年 6月

愛の中で育つ                   園長 佐 竹 和 平 

 本来なら、今頃は平和の祭典とも言われるオリンピック開会に向け、海外から多くの人が来日し、多くのイベントで盛り上がり、世界中の人々がオリンピックを通じて一体感を感じるといった経験をすることができたはずでした。

 しかし、今年のオリンピックは開催中止となりました。平和の祭典どころか、今や世界を見渡すと、国家間の言い争い、人種差別によるデモ、暴動など目を覆いたくなるような惨状です。国籍や人種に関わらず鍛え上げられた肉体、精神力、チームワークなどに賞賛が贈られるはずだったこの時期に、世界は反対の方向に向かっています。

世界の平和のために祈りを合わせましょう。

 家庭内でも長期間の外出自粛やテレワークなどで家族が家にいる時間が増えたことによって虐待やDV、家族間同士の争いなどが増えているとのことです。大人が精神的に疲弊し、疑心暗鬼になり、責任を他者に押しつける。自分の子どもすらも許せなくなっている親もいるようです。子どもたちの安心、安全な生活が守られるよう祈ります。

 聖書には「あなたがたは神に愛されている子どもです。(エフェソの信徒への手紙5章1節)」と記されています。ここにある「子ども」というのは年齢的に未成年の子どもという意味ではなく、創造主である神様に命を与えられた人間という意味で、子どもに限らず大人も含まれます。自分の子どもに限らず、自分自身も周りの人もみんなが神様に愛されている大切な存在なのです。性別や年齢、国籍や人種、肌の色、人の持つ能力や個性、財力に関係なくすべての人が愛されるために生れてきた大切な存在で、一人ひとりが尊重されるべきとの価値観がここにはあります。この価値観がない世の中だと、生きるのが苦しくなる人が多くいることに心を留めたいと思います。

 子育ては時に大変な時もあります。子どもの成長に不安を感じるとき、自分自身の子育て手法、子どもとの接し方に疑念を抱くときもあるでしょう。そんなときには、人は神に愛されている大切な存在であることを思い出して欲しいと思います。愛の中で子どもを育てることを思い出して欲しいのです。

 いよいよ、ドレーパー記念幼稚園の2020年の幼稚園生活が始まりました。先行き不透明ではありますが、与えられた環境の中で、1日1日を大切に過ごせるよう教職員一同が力をあわせて参ります。

2020年 3月

聖句暗唱                 園長 佐 竹 和 平 

 幼稚園の毎朝の礼拝では月ごとに示されている聖書の言葉をみんなで声をそろえて言うのです。聖句を暗唱して声に出しますので、これを聖句暗唱といいます。この一年の聖句をお子さんと一緒に、読み返しいただければと思います。

4月 わたしは よみがえりです いのちです

5月 いつまでも のこるものは しんこうと きぼうと あいです

6月 みよ わたしはあたらしいことをする いま もうそれがおころうとしている

7月 ひかりの こどもらしくて あゆみなさい

8月 あなたのりんじんを あなたじしんのように あいせよ

9月 わたしたちは たがいに あいしあいましょう

10月 たねをまくひとは みことばをまくのです

11月 へいわをつくるものは さいわいです

12月 きょうダビデのまちで あなたがたのために すくいぬしが おうまれになりました

1月 しゅは あなたを まもるかた

2月 かみは よろこんで あたえるひとを あいしてくださいます

3月 あいは けっして たえることが ありません

 『イエス・キリストを通して示される神の愛と恵みのもとで子どもたちが育てられ、今の時を喜びと感謝をもって生き、そのことによって生涯にわたる生き方の基礎を培い、共に生きる社会と世界をつくる自律な人間として育っていって欲しい』

このような願いがキリスト教保育の子ども観です。毎日の聖句暗唱で、この思いが少しずつ、子どもたちの心と体に行き渡っていったと信じています。

 2019年度の幼稚園生活も終わりが近くなってきました。年長のほし組は幼稚園を卒業し、4月からは小学校へ進学します。年少、年中は進級となりそれぞれ新しい環境の中での幼稚園生活となります。新型コロナウイルスの流行に伴う生活や健康の不安がありますが、どのような環境の中にあっても、神様の祝福とお守りが必ずありますから希望を持って過ごしていきましょう。