園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2011年 4月 見えないものに目を注ぐ 

見えないものに目を注ぐ      園 長 佐 竹 和 平

 4月は新しい年度の始まりです。新入園の子に限らず進級した子もそれぞれ新しい環境の中で不安なことも多いかと思いますが、保護者の方々と連絡をとり、協力し合いながら子どもたちの幼稚園生活が楽しいものとなるようにしていきます。

 私たちの幼稚園ではこのように何もかもが備えられたなかでスタートすることが出来ましたが、東北地方を中心に甚大な被害がもたらされた今回の災害に被災した人々、特に多くの子どもたちのことを覚えます。住む家を失い、家族を失い、友だちを失い、先生を失い・・多くのものを失いつつも必死に生きて行こうとする子どもたちのことを思うと胸が締め付けられる思いです。一日も早く平安が訪れるように祈るものです。

 ドレーパー記念幼稚園はキリスト教主義を掲げる幼稚園としてキリスト教保育連盟のカリキュラムに沿って保育を行っています。今年度の年主題聖句は「わたしたちは見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。(新約聖書コリントの信徒への手紙Ⅱ4章18節)」とあります。なぜ、見えないものに目を注ぐのかはその後に記されています。「見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです。」とあります。目に見えるものは失ってしまうことがあるかもしれないけど、決して失うことのない目に見えない大事なものがあることを知らされます。震災で被災された方々の中には厳しい状況の中にあっても希望と夢を持って前向きに生きて行こうとされている方々がいます。見えない大事なものをしっかりと持っているからできることなのでしょうか、大きく励まされもします。

 ドレーパー記念幼稚園ではこの見えないものを大事にしています。子どもはお友だちと仲良くしようとする心、お友だちのことを心配する心、お友だちのことを勇気づけようとする心を持っています。でも、まだ、その心が上手く表現できないでいる子もいるかもしれません。そんな時に教師はその目に見える表現されたものではなく、目に見えない子どもの、その時の気持ちに寄り添い、その気持ちを育み、励ましていくのです。上手く出来た時だけでなく、上手く出来なかったときにも分かっていてくれる人がいる。子どもはこの事で安心と自信を得るようになります。見えないものに目を注ぐことを大事に日々の保育に取り組んでまいりたいと思います。