人生に必要なもの 勇気と想像力と少しのお金 園長 佐竹 和平
厚生労働省がこの度、公表した2024年の出生数(生まれた子どもの数)は全国で約68万人。初めて70万人を下回り、前年に比べて約4万人の減。神奈川県では約5万人が生まれたのだが前年に比べて約2600人減とのこと。合計特殊出生率は全国では 1.15人、神奈川県は 1.08人となっている。人口を維持するのにはこの数字が 2.07人にならないといけないのだそうだが、もはや、この数値を目標にすることをやめているよう。
国が少子化対策基本法を制定し、本格的にその取り組みを始めたのが2003年。極一部の自治体が独自の取り組みによってその成果をだしているところはあるが、この20数年来、少子化が止まることはなく、むしろ予想以上の速さで少子化が進んでいるのが実際のところ。収入や生活の不安があり結婚を望まない、結婚していても子どもを授かることを望まない比率も年々高くなっている。子どもを授かろうとする人数、育てようとする人数も様々な事情で減ってきています。また、晩婚化により子どもを授かれる人数に影響があるのだともいわれています。神奈川では平均で夫の初婚年齢は 31,7歳、妻は 30.3歳とのこと。
これらの報道をみて思い出したのが、チャップリン(喜劇王と呼ばれた映画人)の映画に出てくるセリフ。あるダンサーを励ますためにと言ったこのセリフ。
「人生に必要なのは勇気と想像力、そして少しばかりのお金なんだよ」
今の政策、今の国の在り様では子どもを授かれる世代、青年層に対して、チャップリンの言う人生に必要なものが持たせられていないのだなあと、ふと思った次第。
結婚する勇気、結婚により人生がより豊かになるという想像力、子どもを授かろうとする勇気、子どもを授かり、育てる喜び、幸せに対する想像力。そしてわずかばかりのお金。このお金に関しては少しとはいかずに、子どもを産み、育てる費用、またその間の雇用の安定が求められ、これが無いから勇気が持てない、結婚し子どもを育てることの想像ができないとも言われてもいます。確かに、これらを青年層、子を授かれる世代が持っていなければ少子化が進むのも致し方ないと思われます。
さて、これを読んでおられるのは幼稚園にお子さんが在園している方、又は未就園児の保護者として幼稚園に関わっておられる方かと思います。すでに、子を持つ親として、子育て真っただ中の皆さんです。お子さんが成長し、生きていく未来がどんなものになるのか、先行き不透明、不安定な時代でもあります。このような時代を生きるのには確かに勇気と想像力が必要とされるのかと思います。
お子さんの持つ勇気と想像力を育めるような6月を過ごしてまいりましょう。