冬が来た 園長 佐竹 和平
1月の4、5歳児のカリキュラムのテーマに「かさねる」とあります。その「願い」としては「今まで楽しんできたことに新たな経験を重ね遊びを広げる」とあります。4月からの生活、年少、年中からの生活の中で培ってきた自分自身の経験に、ここにきて新たな経験を「重ねる」ことが今月の願いです。そして、保育者(教師)は「子どもの思いが実現できる環境を整え、興味関心の幅を広げる」とありますから、子どもの成長を導く専門職らしい働きが求められもしています。
冬の朝の寒い時、私には思いだす詩があります。
高村光太郎の「冬が来た」という詩。
きっぱりと冬が来た
八ツ手の白い花も消え
公孫樹(いちょう)の木も箒になった
きりきりともみ込むような冬が来た
人にいやがられる冬
草木に背かれ、
虫類に逃げられる冬が来た
冬よ僕に来い、僕に来い
僕は冬の力、冬は僕の餌食だ
しみ透れ、つきぬけ
火事を出せ、雪で埋めろ
刃物のような冬が来た
寒くて人に嫌がられる冬を、自分の力に、自分を成長させてくれるものしている僕。そのためにもっと冬らしくあれ、寒くあれと願ってもいる僕です。寒さに萎縮しないで、凛と立つ姿がとても素敵な詩で、この詩に園庭の元気な子どもの姿を重ねている私です。
寒い冬にも冬の良さがある。その冬の良さを、まだ冬の経験の浅い子どもたちに気づかせてあげられる、こどもたちの「興味関心の幅を広げる」ことができる保育者、大人であってほしいというのが今月の「願い」です。
吐く白い息、冷たくなった手を暖めあう、澄んだ空気、結露した窓ガラス。生活の中で見る冬の体験は大人には当たり前でも、子どもには未知の体験のこともあります。子どもと一緒にその体験を感じ合える、そんな冬をすごしたいものです。「冬が来た」と前を向いて、親子で冬を喜び、冬を楽しみましょう。