ブランコ 園長 佐竹 和平
幼稚園の園庭にあるブランコは、子どもたちに人気の遊具です。子どもたちの生活の中心には「遊び」がありその遊びの中にたくさんの“育ち”が詰まっています。今回はブランコを通して、子どもたちの成長についてご紹介したいと思います。
園庭で遊んでいると、「えんちょうせんせい、ブランコおして〜!」と声をかけてくれる子がいます。そんなとき私は、お決まりのボケをひとつやってから、背中を押したり、ジェットコースターをしてあげます。園長だけでなく、他の先生たちも子どもたちにたくさん声をかけられ、ブランコを押しています。
ブランコは人気がある分、「順番を待つ」という経験も欠かせません。誰かが乗っているときには、「か〜わって」と自分の気持ちを伝えなければなりません。一方で、今乗っている子には「まだ遊んでいたい」という気持ちがあります。それでも、「10数えたらいいよ」などと声をかけて譲ってあげる姿も見られます。年下の子に対してはすぐにかわってあげられる子もいます。中には決して譲れない子もいます。
「かわってほしい」と自分の思いを伝える子。「まだ遊びたい」気持ちを持ちながらも、相手の思いを感じ取って譲る子。そこには、相手を思いやる心や、折り合いをつける力が育まれています。
また、「〇〇せんせい、おして〜」と先生を呼ぶ声にも、子どもたちの成長が見えます。近くに先生がいないときには、もっと大きな声で呼ぶ必要があります。その声に気づいて駆け寄る先生がいて、自分の思い、表現したことが実現します。
子どもたちがブランコを押してもらいたがるのは、まだ自分でうまくこげないから、というだけではありません。先生と一緒に遊びたい、楽しい時間を分かち合いたいという気持ちもあるのです。もちろん、少しずつ自分の力でこげるようになり、その喜びを味わう子どもも増えていきます。
このようなブランコ遊びの中で、子どもたちはさまざまな力を育んでいます。
- 自分の気持ちを表現する
- 順番を守る
- 相手の気持ちに気づく
- 数の感覚を身につける
- 先生や友だちとの関わりを通して社会性を育てる
そして、体を動かすことで体力もついていきます。3歳のうちはまだ難しいことも4歳、5歳、6歳と成長する中で、少しずつできるようになっていきます。
思いっきり遊びながら、たくさんの経験を通して、子どもたちがのびのびと成長していく姿を見守っていきたいと思います。