園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2022年 9月

うえお かきくけこ            園長 佐竹 和平

 人間関係、親子関係などで悲しい事件が報道されたりします。私たちが知らされていないだけで、厳しい環境下で生きている人は多くあり、不幸の中に生きておられる人はとても多いのでしょう。古代ギリシャの哲学者、アリストテレスは「人生における最善の状態は幸福であると」と指摘しています。改めて考えれば確かに「幸福」という価値観が最も優位であると思われます。この「幸福」に授かることができない人が、本人のせいではなく、周りの環境によって、幸福になれない人が多いように思います。

 最善の状態である幸福になるため、幸福を感じるための条件や定義は人それぞれで、いま置かれている環境によって異なるでしょう。お金がある、社会的地位がある、仕事がある、容姿が端麗である、健康である、家がある、家族がいる。これらのモノがあれば幸福だと思う方もおられるでしょう。しかし、これらのモノ以外で、幸福であるために絶対必要な条件が平和であることです。平和とは改めて辞書で確認すると「戦いや争いがなくおだやかな状態」とありました。いくら十分なモノに満たされていても平和でなければ幸福にはなれないのです。貧しくても幸福だと言える人はこの平和な状態を喜び感謝できているからなのだと思います。

 この平和な状態に欠かせないのが愛ということになります。愛のある所に争いはないのです。愛とは相手のことを大切に思うこと。聖書には「愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。不義を喜ばず、真実を喜ぶ。すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。愛は決して滅びない」とあります。結婚式などで紹介されるのでお覚えの方もおられるでしょう。ニュースで伝えられる悲しい事件、その人間関係に「愛」がないといつも思わされもします。

 マザーテレサの言葉に「愛のために働けば、それはそのまま平和のために働いたことになります。」と。愛を持って、教職員がお互いに仕え合い、この愛を子ども達に言動をもって伝えていく。幼児教育に携わる私たちの働き、それは平和のため、人々が幸福になるための貴重な働きなのだとマザーの言葉に励まされるのです

 保護者の皆さんが愛をもってお子さんと接するその日々がお子さんを幸福にし、そのような一人ひとりが世の中に与えられることによって愛のある平和な社会が造られるのだとも思います。愛を忘れずに、愛を失わずに過ごしていきましょう。