あなたと共にいて、あなたを守って下さる神 園長 佐 竹 和 平
昨年の暮れにドレーパー記念幼稚園の設立時、草創期に大変なご尽力をいただいた乙幡(おつぱた)義子(よしこ)先生が92年のこの世での生涯を終えられ天に召されたとの知らせがありました。義子先生は当時の大塚平安教会の乙幡和雄牧師の婦人で、幼稚園設立時の園長となられた方です。
「見よ、わたしはあなたと共にいる。あなたがどこへ行っても、あなたを守る。」
この言葉は義子先生が親しんだ聖書の箇所、創世記28章15節です。イサクの子、ヤコブが大きな過ちを犯し家族から逃亡し悲嘆に暮れ、荒野で石を枕にして寝ていた際の夢に神が現れて言われた言葉です。神様はあなたが罪を犯して苦しんでいるとき、病気と闘っているとき、逆境のなかにあって悲しんでいるときはもちろん、喜びの時、神なんか必要ないと思い上がっているような時にも、共にいてくださって、守ってくださるとの何とも心強い、神様の恵みに満ちた言葉を伝えている個所です。
幼稚園設立時のことを振り返っておきます。1961年、今から60年前の4月に大塚平安教会に聖書神学校を卒業したばかり、まだ30歳に満たない乙幡和雄牧師が義子婦人とともに赴任して来られました。教会は当時、礼拝出席者が13名程度の小さなものでした。その教会が幼稚園を設立しようと既に決めていたのです。乙幡牧師は牧師として教会に赴任してきたのであって、幼稚園をやるために来たのではないと・・・当初は幼稚園設立に反対。一時は牧師辞任まで決意されましたが、様々な方々のご助言、神様のお導きもあって幼稚園設立に向けて尽力するようになりました。園舎はありません、園庭もありません、お金もありません、教師はいません。しかし、開園は翌年の4月と決定されています。そのような厳しい状況のなかで幼稚園設立に向けて奮闘する牧師を婦人として支えつつ、ご自身は当時、町田の幼稚園で教諭としてお働きだったので、その見識から新しく設立する幼稚園の教育方針を牧師、初代主任となる有村節先生(故人)とともに考えられたのです。設立時から心身に障害を持つ幼児を受け入れるなど60年前の当時としては画期的な取り組みもされています。多くの皆様の協力を得てなんと、当初の予定通り1年後、1962年4月10日に最初の入園式が行われました。義子先生はその日を妊娠9か月目で迎えたのでした。この日から教会の礼拝堂を教室として、53名の園児からなるドレーパー記念幼稚園の愛に満ちた生活が始まったのでした。
聖書は神様の愛を示してくださる書物です。年初にあたって、天に召された義子先生から「あなたと共にいて、あなたを守って下さる神」が示されました。子どもたちにこの神様の愛を、あなたは神様に守られている大切な存在であることをしっかりと伝えていくことの大切さを改めて決意するものです。
最初の入園式の日。左は主任教諭の有村節先生(故人)、右が義子先生。
旧園舎の定礎の日に。石板を持っておられるのが乙幡和雄先生。
その右隣りで乳児を抱えておられるのが義子先生。
最初の卒業生の記念写真。