園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2020年 11月

豊かな感性と表現             園長 佐 竹 和 平 

 園庭のけやきの木の葉は夏には暑い日差しを避けるように大きな日陰を作ってくれます。秋になると少しずつその葉は落ち、冬には日差しが当たりやすくなるように葉がなくなります。落ち葉の余りの多さに恨めしく思うときも正直ありますが、神様の造られた自然の恵みを感ぜずにはいられません。

 この時期、子どもたちは園児フェスティバルに向けての活動に取り組んでいます。以前は子どもたちの製作物の発表として作品展を行っていました。子どもの作品、特に個人の作品を家族の方に見ていただく催しで、行事としては「個」「静」なるものでした。作品の前には個人の名前を記し、だれが作った物かがわかるようにしていました。園児フェスティバルは、もっと子どもたちのことを知ってもらいたい、幼稚園の生活の中で活き活きとしている様を見てもらいたいとの思いで始めたもので「集団」「動」なる催しです。子どもの動き、コミュニケーションが大切な催しとなっています。作品はたくさんありますが個人の名前は出てきません。

 幼稚園教育要領に示されている幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿の1つに「豊かな感性と表現」があります。そこには「心を動かすできごとに触れ感性を働かせる中で、さまざまな素材の特徴や表現の仕方などに気付き、感じたことや考えたことを自分で表現したり、友達同士で表現する過程を楽しんだりし、表現する喜びを味わい、意欲を持つようになる」と示されています。

 園児フェスティバルに向けての活動はこの「豊かな感性と表現」の宝庫です。「表現」とは歌や絵、作品によって現わされるものだけではありません。日常の生活の中で自分自身の考えていることを表出することも含まれます。話すことができない赤ん坊は泣くことによってお腹がすいたこと、オムツが濡れていることを表現します。成長にともなって少しずつ表現する力がつき、幼稚園では自分の考えを出して、みんなの意見との中で折り合いまでつけることができるようになっています。それはこの間にはいくつもの「心を動かすできごと」を体験してきたからこそともいえます。道ばたに咲いている小さな花、そこにいる小さな生き物に感動するといったちょっとした体験の積み重ねが成長に繋がっているのです。

 今年は新型コロナウイルスの影響で密を避けることが求められており、例年は1日での開催だったものを2日間に分けての開催とします。自分たちで出し合った意見、アイデアを共感しあい、仲間と造りあげていく園児フェスティバルです。子どもたちの表現にたくさん気づくことができる時となるよう願っています。