園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2018年 7月 

キリスト教保育の願い 3)           園長 佐 竹 和 平 

 幼児一人きりの部屋で目の前に大好きなお菓子が一つ。今すぐ食べても良いのだけど、20分間、食べるのを我慢するともう一つお菓子が食べられるというテストがあります。アメリカの心理学者が考案したいわゆるマシュマロ・テストというものです。このテストで何がわかるかというと自制心の高さがわかるというものです。20分我慢して二つのお菓子を食べられる子は自制心が高い子。我慢できずに一つのお菓子を食べてしまう子は自制心の低い子ということになります。

 自制心とは自分自身の感情や欲望などをうまくコントロールしたりする気持ちや精神力の事とされていて、生きていく上で重要な物です。一概には言えませんが、犯罪や世の中で起きている理不尽な出来事はこの自制心の欠如によって起きているように思われます。

 この自制心は幼児教育の中で培われるべき「非認知能力」の一つです。小学校では国語、算数、理科、社会などの科目があり、それぞれ学びの中で覚えることがあります。覚えたことを基に問題を解く力も求められます。このような知識や知能のことを「認知能力」といいます。この認知能力を高めるためにとても大切で、社会の中で自立した人間として生活していくのに大切な能力が「非認知能力」です。「思いやり」「協調性」「自制心」「自尊心」「やり抜く力」「意欲」「社交性」「信頼」などの能力のことです。

 幼稚園での遊びを中心とした生活、友だちや保育者との関わりの中でこれらの能力を少しずつ身につけて行っている子どもたちの姿をうれしく見させて頂いています。
・思いやり・・困っている子がいたら助けている子がいます。
・協調性・・みんなで同じ一つのことに取り組むことが出来ます。
・自制心・・今、何をやらなければならないかを自分で考えて行動しています。
・自尊心・・みんなから愛されている自分に気づき、自信を持ちます。
・やり抜く力・・すぐにあきらめずに最後まで頑張っている姿があります。
・社交性・・元気にあいさつができます。
・意欲・・次は何をしようか・・自分のやりたいことを思い描きます。
・信頼・・困っていたら助けてくれる友だち、大人がいることを知っています。


 今月もキリスト教保育連盟によるキリスト教保育のねらいを紹介します。
 3)子どもが互いの違いを認めつつ、一緒に過ごす努力をし、そのことを喜びとする
ようになる。
「違い」を認めることから始まり、努力し、喜びへと持って行くところにキリスト教保育の特徴が出ています。私とあなたは違う存在。価値観や目的を共有することが出来ないこともある。でも、共に生きていこう。そこには、違う存在だけれども、お互い神様に守られ、愛されている同じ人間という信仰が土台にあります。