園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2016年 10月  試行錯誤

                  園長 佐 竹 和 平 

 まもなく運動会です。幼稚園の行事としては運動会、クリスマス、卒業式と子どもの成長を見ることができる大きな行事の一つです。子どもたちは運動会に向けての取り組みを楽しみながら行っています。教師は子どもたちが楽しんでその取り組みができるよう日々の保育に取り組んでいます。そして、運動会当日です。子ども一人ひとりの運動会に向けての取り組みの成果が出ます。今持っている個性が出ます。良いと思われるところ、好ましくないと思っているところも出ます。子ども同士、子どもと教師、子どもと保護者、更に教師と保護者、保護者同士の日頃の人間関係がさらけ出される日でもあります。

 このように書くと楽しさが半減してしまうでしょうか。そのようなことはありません。速い、遅い。やる、やらない。できる、できない。当日の子どもたちの姿です。全てがさらけ出される中に大いなる学びの機会があるのです。自分の子どもだけでなく、他の子どもの成長を実感し、喜びの時となるのは皆が見ている中で行われる運動会だからです。遅くても、やらなくても、できなくても良いのです。子どもの今をしっかりと見て、今をしっかりと応援してあげたいと思います。
 
 今月のテーマは『試行錯誤』となっています。不思議な四字熟語です。試してみる、失敗するという意味です。この語源は何かと調べたところ、どうやらアメリカの心理学者が「Trial and error」という学習方法に関する学説を打ち立てたその訳語が「試行錯誤」ということらしいのです。一つの課題を解決するために多くの失敗をします。その多くの失敗の中に偶然に成功が現れると、その成功を反復して行うようになるというような説明がありました。私たちが今、行っている動作のすべては試行錯誤の結果、できることになったということのようです。試してみて、失敗する。また試してみて失敗する。その繰り返しを経験する中で失敗が減り、成功が産まれる。私たちは日々、この試行錯誤の中に生きているようです。

 過干渉、過保護の親がいます。子どもが失敗しないようにと考えてしまい、自分が知っているその答えを子どもに教えてしまうことがあります。子どもが試みる前に成功の方法を教えてしまうのです。親が子どもの失敗する機会を奪ってしまうのです。試行錯誤という課程、大切な成長の過程が抜けてしまうのです。失敗は悪いことでなないのです。できないことは悪いことではないのです。試行さえし続けるならば、失敗は成功への課程となるからです。いつか、自分の力で成功します。それが子どもの持つ成長する力なのです。面倒がらずに、子どもの失敗を見守ってあげましょう。恐れずに子どもの失敗を見続けていきましょう。