園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2016年 4月 安心

「保育園落ちた日本死ね」のブログへの書き込みが、日本を大きく揺るがしました。保育に携わる私、特に保育園という言葉にゆかりのある私としてはこの文章には大いに衝撃を受けました。保育、子育てのことから、少子高齢化、人口減少、男女共同参画社会などの諸問題に具体的な解決の糸口が見いだせるようにと願いつつ、自分の為すべきことを改めて考えています。

 身内の話で恐縮ですが、今から120年前、私の曽祖父、佐竹音次郎は鎌倉の腰越で小児科医院を開院していました。時代や土地柄というものがあったのか、いつしか孤児を受け入れ、その数が増えていく中で、自分が父親となってその子どもらを育て、共に生活をしていくことにしたのです。自分が父親なのだからこの子どもらはもう孤児ではない。そのような思いから当時一般的に使われていた孤児院という名称を使わずに保育院と名乗ったのです。「保育」という言葉は曽祖父の造語で“保(やすん)じて育つ”ということ。保じてとは安心してという意味です。その後、キリスト教の教えに導かれた曽祖父は、その施設を“子どもらが保(やすん)じて育つように、神より与えられた祝福された園”という保育園という名前に変えたのです。これが日本における最初の保育園です。

 子どもが育つ環境、保育において安心は何よりも大切なことです。安心して食べられる、安心して眠れる、安心して遊べる。親、大人、地域社会、国家がこのような安心を全ての子どもに備えなければなりません。また、安心は子どものみならず親自身にとっても大切なことでもあります。親が安心して子育てをするために大切なことは二つあります。まずは子どものことを知ることです。自分の愛するわが子をしっかりと見て、わかってあげようとするところから安心は始まって行きます。明日の天気を心配するのはわからないからです。わかれば、明日になれば心配するよりその状況に対応するしかありません。そしてもう一つ親の安心のために大切なことは信じることです。神様、イエス様がいつも見守って下さっているので私たちの平和(平安・安心)が保たれていると信じ、感謝することです。今年度のキリスト教保育連盟の年主題聖句は「キリストはわたしたちの平和であります。エフェソ2-14)」です。

 いよいよ2016年度のドレーパー記念幼稚園の生活が始まりました。新入園の子、進級の子それぞれにいろんな思いを持っていることでしょう。その思いに寄り添いながら過ごしていきましょう。幼稚園は子どもにとって楽しいところ、お友だちと一緒に遊び、生活をしながら成長する場所です。そして、保護者の方々もそのお子さんを通じて様々なことを学び成長していく場所です。共に成長の日々を楽しく過ごせたらと願っています。