園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2016年 1月 いっしょに

いっしょに                園長 佐 竹 和 平 

 いよいよ3学期が始まりました。子どもたちも元気に登園して来て、冬休み中は静かだった園に活気が戻ってきました。始業式では子どもたちにお正月に何をしたかを聞いてみたら、みんな元気に「お年玉もらった!」「お餅食べた!「おじいちゃんちに行った」「初詣に行った!」などと話してくれました。

 夏休み明けの2学期の始業式は1学期に体をいっぱい使って園庭を駆け回ったから体がしっかりしてきて、夏休みの間には日焼けもして、子どもたちはたくましくなったように見えます。この冬休み明けの3学期の始業式の子どもたちの成長には夏のそれとはちょっと違ったものを感じます。年長さんは2学期の様々な行事で年長であるという自覚をはっきりと持ち、同時にあと少しの幼稚園生活、小学校への期待と不安を持っています。年中さんは今まで見ていた年長さんの責任ある姿を、今度は自分の姿として自覚し、希望を持っているでしょう。年少さんも同じような気持ちで年中さんのことを見ていることでしょう。夏の成長は身体的な成長、冬のそれは精神的な成長を感じさせてくれる子どもたちの姿です。幼稚園での生活、様々な行事を通じて、入園の時には自分の事だけしか考えられなかった子どもたちが、ほかの人に目を向けることができるような成長をしているということです。

 さて、年始から「橋」にまつわる悲しい事件があり、思い出した話があったので記しておきます。 「二匹の山羊が、川にかかった狭い橋の上でめぐり会ったら、彼らはどうするだろうか。橋は狭すぎて、もとに戻ることも、横をすりぬけていくこともできない。それぞれの山羊が通ろうと、むりやり進んでいくと、ぶつかって両方とも川に落ち、おぼれてしまう。どうすれば良いだろうか。」 これは16世紀の宗教改革の中心人物となったマルチンルターが子どもたちに向けて語ったもの。話の続きは 「2匹が生き延びる方法は一つ。一匹が橋の上に伏せて相手に自分の上を踏んで渡ってもらうことだ。こうすれば、二匹とも無事に橋を渡ることができる。人間同士の間でも、このようにしなければならないことがある。他人と争って勝つよりも、自分の上を他人に踏みこえさせるべき時があるものだ。」 自らが伏せて相手を通らせようとした山羊の姿が印象的なお話です。

 勝つか負けるか、〇か×か、損か得かではっきりさせなければならないことが多い世の中ですが、共に勝つ、どちらも〇にする、いっしょに生きる方法が橋の上の山羊から学べるのではないでしょうか。もしかしたら、私たちは知らぬうちに伏せた山羊の上を歩いていることもあるかもしれませんね。自らが伏せて相手を通らせようとした山羊の姿を時折、思い出してみてください。

 3学期の保育日は49日となっており、一番短い学期です。最後の時まで子どもたちがいっしょに育ちあえる環境作りに教職員一同、力を合わせてまいります。本年もよろしくお願いします。