園だより 園長からのメッセージ

毎月、発行している園だより 園長からのメッセージ

2020年 7月

遊びこむ           園長 佐 竹 和 平 

 朝の門で登園してくる子どもたちを迎え入れます。みんなとてもいい笑顔で登園してきます。時折、不機嫌な顔で登園してくる子もいます。お母さんとけんかをしてしまったようです。そんな子も園庭に出れば笑顔で遊び出します。降園の時は門で子どもたちを見送ります。みんな笑顔で、幼稚園で過ごしたこの1日を楽しんだ満足感を持って門を出て行きます。中にはすぐに帰りたがらない子もいますが明日も楽しい一日があると望みを持って帰っていきます。子どもたちが幼稚園を好きでいてくれているのがとてもうれしいです。

 7月のカリキュラムのテーマは「遊びこむ」となっています。幼稚園は教育施設です。その教育の中でもっとも大切なことが遊ぶことです。文部科学省の定めている幼稚園教育要領の中には「幼児の自発的な活動としての遊びは、心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習である」と記されています。単なる遊びが重要だとは記されていません。「自発的な活動としての遊び」が重要な学習であるとされています。ここに、教育的配慮が必要で、幼稚園、教師の役割があるのです。

 子どもが遊ぶ環境は様々です。一人で、友だちと、教師と一緒に遊ぶ姿があります。子どもたちそれぞれが自分の思い思いの過ごした方をします。その中で好きな遊びをこころゆくまで繰り返し楽しみ、工夫したり探求したりする。遊ぶことに主体的、積極的に関わっていくことで遊びが深まっていきます。そこに楽しさを味わえるようになること、「遊びこむ」ことで遊びの効能、遊びの教育的意義が高まるのです。子ども自身がそんなことを考えて遊ぶ必要はなく、純粋に遊びに没頭できる環境を教師が作るのです。友だち、教師、遊具、道具、水や太陽、生き物、植物などは目に見える遊びこむための環境です。このほかに「時間」はとても大切です。途切れ途切れでないまとまった時間がないと「遊びこむ」までには行き着かないでしょう。もう一つ大切なことがあります。自分がその場所にいていいと思える感覚。自分が周りから認められ、受け入れられているという感覚。安心感。そのようなものがあるから「遊びこむ」ことが可能になるのです。

園庭で、教室で、子どもたちの「遊びこむ」姿を一つでも多く見られるよう願っています。

 いよいよ7月です。保護者の皆様の活動も少しずつ始まります。引き続き、一人ひとりが新型コロナウイルスの感染拡大の防止に注意しつつ、保護者の皆様も幼稚園生活を楽しんでいただけるよう願っています。

 

2020年 6月

愛の中で育つ                   園長 佐 竹 和 平 

 本来なら、今頃は平和の祭典とも言われるオリンピック開会に向け、海外から多くの人が来日し、多くのイベントで盛り上がり、世界中の人々がオリンピックを通じて一体感を感じるといった経験をすることができたはずでした。

 しかし、今年のオリンピックは開催中止となりました。平和の祭典どころか、今や世界を見渡すと、国家間の言い争い、人種差別によるデモ、暴動など目を覆いたくなるような惨状です。国籍や人種に関わらず鍛え上げられた肉体、精神力、チームワークなどに賞賛が贈られるはずだったこの時期に、世界は反対の方向に向かっています。

世界の平和のために祈りを合わせましょう。

 家庭内でも長期間の外出自粛やテレワークなどで家族が家にいる時間が増えたことによって虐待やDV、家族間同士の争いなどが増えているとのことです。大人が精神的に疲弊し、疑心暗鬼になり、責任を他者に押しつける。自分の子どもすらも許せなくなっている親もいるようです。子どもたちの安心、安全な生活が守られるよう祈ります。

 聖書には「あなたがたは神に愛されている子どもです。(エフェソの信徒への手紙5章1節)」と記されています。ここにある「子ども」というのは年齢的に未成年の子どもという意味ではなく、創造主である神様に命を与えられた人間という意味で、子どもに限らず大人も含まれます。自分の子どもに限らず、自分自身も周りの人もみんなが神様に愛されている大切な存在なのです。性別や年齢、国籍や人種、肌の色、人の持つ能力や個性、財力に関係なくすべての人が愛されるために生れてきた大切な存在で、一人ひとりが尊重されるべきとの価値観がここにはあります。この価値観がない世の中だと、生きるのが苦しくなる人が多くいることに心を留めたいと思います。

 子育ては時に大変な時もあります。子どもの成長に不安を感じるとき、自分自身の子育て手法、子どもとの接し方に疑念を抱くときもあるでしょう。そんなときには、人は神に愛されている大切な存在であることを思い出して欲しいと思います。愛の中で子どもを育てることを思い出して欲しいのです。

 いよいよ、ドレーパー記念幼稚園の2020年の幼稚園生活が始まりました。先行き不透明ではありますが、与えられた環境の中で、1日1日を大切に過ごせるよう教職員一同が力をあわせて参ります。

2020年 3月

聖句暗唱                 園長 佐 竹 和 平 

 幼稚園の毎朝の礼拝では月ごとに示されている聖書の言葉をみんなで声をそろえて言うのです。聖句を暗唱して声に出しますので、これを聖句暗唱といいます。この一年の聖句をお子さんと一緒に、読み返しいただければと思います。

4月 わたしは よみがえりです いのちです

5月 いつまでも のこるものは しんこうと きぼうと あいです

6月 みよ わたしはあたらしいことをする いま もうそれがおころうとしている

7月 ひかりの こどもらしくて あゆみなさい

8月 あなたのりんじんを あなたじしんのように あいせよ

9月 わたしたちは たがいに あいしあいましょう

10月 たねをまくひとは みことばをまくのです

11月 へいわをつくるものは さいわいです

12月 きょうダビデのまちで あなたがたのために すくいぬしが おうまれになりました

1月 しゅは あなたを まもるかた

2月 かみは よろこんで あたえるひとを あいしてくださいます

3月 あいは けっして たえることが ありません

 『イエス・キリストを通して示される神の愛と恵みのもとで子どもたちが育てられ、今の時を喜びと感謝をもって生き、そのことによって生涯にわたる生き方の基礎を培い、共に生きる社会と世界をつくる自律な人間として育っていって欲しい』

このような願いがキリスト教保育の子ども観です。毎日の聖句暗唱で、この思いが少しずつ、子どもたちの心と体に行き渡っていったと信じています。

 2019年度の幼稚園生活も終わりが近くなってきました。年長のほし組は幼稚園を卒業し、4月からは小学校へ進学します。年少、年中は進級となりそれぞれ新しい環境の中での幼稚園生活となります。新型コロナウイルスの流行に伴う生活や健康の不安がありますが、どのような環境の中にあっても、神様の祝福とお守りが必ずありますから希望を持って過ごしていきましょう。

2020年 2月

自分で決める                園長 佐 竹 和 平 

 「朝、園長の私が門の前いて、子どもたち、保護者のみなさんにあいさつをしますが、そのときに保護者の皆さんは子どもにどもにあいさつしなさいと言わないでください」

 以前、保護者の皆さんを前にこのようなお話をしたことがあり、驚かれたことがあります。あいさつをすることは人と人とが認め合うことですからとても大切なものです。とても大切なものだからこそ、人(親)に言われたからするのではなく、自分自身の意思であいさつができるといいと思っているからです。あいさつの大切さ、あいさつをするように導くのは教育的にも行なわれるべきですが、「ほら、あいさつをしなさい!」とか「おはようは!?」「園長におはようって言いなさい!」のような言葉がけによって「おはよう」の言葉が出ても、本当のあいさつにはならないからです。

 ボランティアという言葉があります。福祉施設での活動や災害時の復旧などに活動する人が増えてきています。このボランティア(Volunteer)の語源は「自由な意思」という意味なのだそうです。人から言われてするものではなく、自分自身の決定によりするものということになります。そして、この最初の「ボラ」というのは火山(Volcano)のvolに由来しているそうです。火山のように心の中から爆発するような思いで活動するのがボランティアということになります。

 人間の行動はその多くは自分自身の決定、自分自身の意思で行なわれるものです。もちろん、親や大人が子どもにとって何が必要か不要かを選ぶべきものもあります。しかし、子ども自身が選べる物は可能な限り、子どもに選ばせてあげたいと思います。子ども自身が自分の意思で決めることを尊重してあげたいと思います。あいさつをする私がいて、あいさつをしない私がいる。どちらの私を選ぶようになるのか。この人にはあいさつをするか、しないか。自分で判断するのです。自分自身で判断したら、元気な声で自分からあいさつ出来るようになるのだと思います。今できないとしても、自分自身の意思を尊重してくれる大人が周りにいれば、きっと、いつか素敵なあいさつ、火山のように心の発露となるようなあいさつをするようになります。あせらずにそのときを待ちましょう。

  さて、今月のカリキュラムのテーマは「協力する」となっています。人は一人では生きてはいけません。人と人とがコミュニケーションを取り合い、同じ目的を共有しつつ協力し合いながら生きています。幼児期のこの時期に「協力する」ことの大切さを感じてもらいたいとの願いがあります。幼稚園での集団活動、クラス活動の中で協力して何かを成し遂げる喜び、うれしさ、気持ちよさを感ることがたくさんできる幼稚園生活が導かれるようにしていきます。

2020年 1月

環境を造る              園長 佐 竹 和 平 

 

 園だよりの毎月のカリキュラムの中にある【願い】とは、このような経験を子どもたちにしてもらいたいという願いであり、教師はこの願いが叶えられるような環境を造っていく必要があります。「環境」というのは幼児教育における重要な用語で、文部科学省の定める幼稚園教育要領には「幼児教育は幼児期の特性を踏まえ、環境を通して行うもの」と示されています。ここで言う「環境」とはその子の周りにあるもの全てです。園庭ではブランコやすべり台などの備え付けの遊具、スクーターやシャベルなどの遊具、砂場、土、水、木、花、動物、太陽、霜柱や氷・・・。 室内ではピアノ、机、おもちゃ、壁面、絵の具、クレヨン、ねんど、絵本・・・。環境の中には人(友だち、異年齢の子ども、保護者、教師)も含まれます。かけっこ、歌、礼拝、お弁当なども幼児教育の中では環境です。

 カリキュラムに関わらず教師はその日、そのクラス、その季節、その気候を考慮し、子どもが育っていく過程において必要な体験ができるような環境を造ることを心がけていますが、その月、その時期にあったものとして月ごとの「願い」があり、1月は下記の4つが示されています。

  • エスさまのなさったわざやたとえ話を聞く中でイエスさまを身近に感じる。
  • 好きな遊びを心ゆくまで楽しみ、ものごとや深く関わることが面白くなり、それが喜びとなる。
  • 健康な生活をするために、必要なことを自分からする。
  • 伝承遊びを楽しみ、ことばや数を遊びの中で使うことが面白くなる。

 さて、これらの願いを子どもたちに経験させるために、どのような環境が造られていくのでしょうか。①は合同礼拝で語られる聖書の話となるでしょうか。子どもの話を聞く力も求められますね。②は継続して遊び込める環境が求められます。時間的制約により分断されることがあっても、精神的、物質的な継続でカバーできると良いですね。朝の自由遊びの時間を大切にしたいですね。③は特に冬の時期には大切です。うがい、手洗いを習慣化すること。着る物を自分で調整できるようになることも大事です。④はお正月遊びのかるたやすごろくで遊ぶことを通じて言葉や数に親しみます。

 さて、三学期がはじまりました。今年の幼稚園の年間の保育日数は197日。内訳は一学期が71日、二学期が75日、三学期が51日となっていて三学期は一番短いのです。一日、一日を大切に、子どもたちの園生活が楽しいもの、有意義なものとなるよう教職員一同力をあわせてまいります。